5. ついては今、ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンという人を招きなさい。
6. この人は、海べに家をもつ皮なめしシモンという者の客となっている」。
7. このお告げをした御使が立ち去ったのち、コルネリオは、僕ふたりと、部下の中で信心深い兵卒ひとりとを呼び、
8. いっさいの事を説明して聞かせ、ヨッパへ送り出した。
9. 翌日、この三人が旅をつづけて町の近くにきたころ、ペテロは祈をするため屋上にのぼった。時は昼の十二時ごろであった。
10. 彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。
11. すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのを見た。
12. その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。
13. そして声が彼に聞えてきた、「ペテロよ。立って、それらをほふって食べなさい」。
14. ペテロは言った、「主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないもの、汚れたものは、何一つ食べたことがありません」。
15. すると、声が二度目にかかってきた、「神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない」。
16. こんなことが三度もあってから、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。
17. ペテロが、いま見た幻はなんの事だろうかと、ひとり思案にくれていると、ちょうどその時、コルネリオから送られた人たちが、シモンの家を尋ね当てて、その門口に立っていた。
18. そして声をかけて、「ペテロと呼ばれるシモンというかたが、こちらにお泊まりではございませんか」と尋ねた。
19. ペテロはなおも幻について、思いめぐらしていると、御霊が言った、「ごらんなさい、三人の人たちが、あなたを尋ねてきている。
20. さあ、立って下に降り、ためらわないで、彼らと一緒に出かけるがよい。わたしが彼らをよこしたのである」。
21. そこでペテロは、その人たちのところに降りて行って言った、「わたしがお尋ねのペテロです。どんなご用でおいでになったのですか」。
22. 彼らは答えた、「正しい人で、神を敬い、ユダヤの全国民に好感を持たれている百卒長コルネリオが、あなたを家に招いてお話を伺うようにとのお告げを、聖なる御使から受けましたので、参りました」。
23. そこで、ペテロは、彼らを迎えて泊まらせた。翌日、ペテロは立って、彼らと連れだって出発した。ヨッパの兄弟たち数人も一緒に行った。
24. その次の日に、一行はカイザリヤに着いた。コルネリオは親族や親しい友人たちを呼び集めて、待っていた。