13. もちろん、ぶどうの木も断わった。 『私は神様と人とを楽しませるぶどう酒をつくり出すのをやめてまで、ほかの木より偉くなろうなんて思いません。』
14. そこでとうとう、いばらに、『あんたが王様になってくれないか』と懇願した。
15. いばらは答えた。 『ほんとうにそう思うのなら、おいらの陰のもとに身を低くしてもらおうじゃないか。 それがいやなら、おいらから火が燃え上がって、レバノンの大杉まで焼き尽くしてしまうからな。』
16. さあ、はっきりしてもらおう。 アビメレクを王にしたことは正しいことだったかどうか。 それが、ギデオンとその子孫全員を正しく扱ったことになるかどうか。
17. 私の父はおまえたちのために戦い、いのちがけでミデヤン人から救い出したのだ。
18. それなのに、なんだ。 父に反逆し、息子七十人を石の上で殺すようなまねをした。 その上、女奴隷の子アビメレクを、身内だというだけで、王にした。
19. これが、ギデオンとその子孫とに対する正しい態度であるなら、おまえたちもアビメレクも、末長く幸福に暮らせるだろう。
20. だが、もし正しいものでないなら、アビメレクはシェケムやベテ・ミロの住民と、お互いを滅ぼし合うことになるだろう。」
21. そののちヨタムは、アビメレクを恐れてベエルに逃げ、そこに住みつきました。
22-23. 三年が過ぎたころ、神様がアビメレク王とシェケムの住民との間にもめ事を起こしたので、シェケムの住民は、アビメレクに反旗をひるがえすに至りました。
24. 引き続いて起こった事件の結果、アビメレクと、ギデオンの七十人の息子殺害に加担した者たちとに、その殺人罪に対する当然の罰が下ることになったのです。
25. シェケムの人々は、峠の小道のわきに、アビメレクを待ち伏せる者を潜ませました。 ところが、その者たちは、手あたりしだいに通行人から略奪するしまつでした。 この陰謀をアビメレクに告げる者がありました。
26. 当時、エベデの息子ガアルが兄弟といっしょにシェケムへ移住し、町の要職についていました。
27. その年の収穫祭が、シェケムの神の宮で催されていた時のことです。 ぶどう酒の酔いが回ると、人々は口々にアビメレクの悪口を言い始めたのです。
28. ガアルはわめきました。 「アビメレクが何だってんだ。 どうしてあいつが王にならなきゃならんのだ。 あんな野郎にへいこら言ってられるかよ。 やつも仲間のゼブルも、おれたちの家来にしてやるからな。 くたばれ、アビメレクめ!
29. おれ様を王様にしてみな。あっという間に、あんなやつ、やっつけてみせらあ。 やい、アビメレク! せいぜい強いのを集めて、出て来い! いつでも相手になってやるぞ。」
30. 町長のゼブルはガアルの暴言を聞くと、怒りに震えました。