2-3. 「あなたがたには、神様がちゃんと、ミデヤンの将軍オレブとゼエブを、捕らえさせてくださったじゃないですか。 それに比べたら私のしたことなんか! この戦いの最後を飾ったのは、あなたがたですよ。 そのほうが、戦いをしかけるよりも大仕事だったじゃありませんか。」 ギデオンの答えに、彼らはようやく納得しました。
17. またペヌエルにも赴き、町のやぐらをたたきこわし、男子全員を殺したのです。
18. それからギデオンは、ゼバフ王とツァルムナ王に問いただしました。 「おまえたちがタボル山で殺した者たちは、だれに似ていたか。」「あなたと同じような服を着ていました。 まるで王子のようで……。」
19. 「ああ、私の兄弟に違いない。 誓ってもいい。 彼らを殺さずにいてくれたら、おまえたちを助けてやるのに。」
20. ギデオンは長男エテルに、二人を殺せと命じました。 しかし、エテルはまだ少年だったので、恐ろしくて剣を抜くことができません。
21. ゼバフとツァルムナはギデオンに頼みました。 「あなたが手を下してください。 わしらも、あなたのような大人に殺されたほうがいい。」 そこで、ギデオンがとどめを刺し、二人のらくだの首から飾りをはずしました。
22. その時、イスラエルの人々は叫びました。 「ばんざーい。 あなた様もご子息も、子々孫々に至るまで、われわれを治めてください。なにしろ、ミデヤン人からお救いくださったのですから。」
23-24. しかし、ギデオンの答えはこうでした。 「私は王になる気はない。 息子も同じだ。 神様こそあなたがたの王だ。 そこで、ひとつ聞き入れてほしいことがあるんだが、敵から分捕ったイヤリングを、全部もらえないだろうか。」 ミデヤン軍はイシュマエル人だったので、みんな金のイヤリングをつけていたのです。
25. 「どうぞ、どうぞ」と彼らは答え、布を広げると、一人一人、分捕り物のイヤリングを投げ込みました。
26. 全部で時価七百五十万円にも相当しました。 同時に投げ込まれた三日月形の飾り、垂れ飾り、王衣、らくだの首飾りなどは別にしてもです。
27. ギデオンはその金で、エポデ〔そでなしの上着。 普通は祭司が着るが、ここでは金の装飾がついて重く、壁にかけた〕を作り、自分の町オフラに置きました。 ところが、イスラエル人がだれもかれもそれを拝むようになり、これは、ギデオンとその一族が犯した悪行となったのです。
28. 以上が、ミデヤン人がイスラエル人に屈服するに至った経過です。ミデヤン人は二度と立ち直れず、ギデオンが生きている四十年間は、イスラエルに平和が続きました。
29. ギデオンは家に帰りました。
30. 彼には息子が七十人もいました。 妻が大ぜいいたからです。
31. また、シェケムに内妻が一人おり、アビメレクという男の子がいました。
32. 年老いたギデオンはついに世を去り、アビエゼル人の地オフラにある、父ヨアシュの墓に葬られました。
33. ギデオン亡きあと、イスラエル人はたちまちバアルやバアル・ベリテの偶像崇拝に陥りました。
34. もう、周囲のすべての敵から救い出してくださった神様を、心に留めようとはしなかったのです。