3. 真夜中まで女と過ごしたサムソンは、そのあと町の門まで行き、門を二本の門柱もろとも引き抜くと、高々とかつぎ上げ、ヘブロンの向こう側にある山のいただきまで運んで行ったのです。
4. そののちサムソンは、ソレクの谷に住むデリラという女を愛するようになりました。
5. ペリシテ人の五人の領主がじきじき彼女を訪ね、「サムソンの力の秘密を探ってくれないか。 どうしたら、あいつを鎖で縛り上げてやれるか、ぜひとも知りたいのだ」と頼みました。それも、ただではありません。 「この仕事を引き受けてくれたら、めいめいが三十万円ずつ出そう」と約束したのです。
6. デリラはサムソンに、力の秘密を打ち明けてほしいと頼みました。「ねえサムソン、どうしてそんなに強いの。 教えてちょうだい。 あんたを捕まえるなんて、できっこないわね。」
7. 「そうだな。 真新しい七本の弓弦で縛られでもすれば、おれも人並の力しか出せまいな。」
8. 例の領主たちは、さっそく七本の弓弦を持って来ました。 デリラは眠っているサムソンを縛り上げ、
9. 隣室には幾人かを潜ませておいて、大声で叫んだのです。「サムソン! ペリシテ人が来たわ!」するとどうでしょう。 サムソンは、弓弦を木綿糸のように断ち切ってしまったのです。 こうして彼の力の秘密は、だれにも知られずじまいでした。
25-26. いいかげん酔いが回ったころです。 「サムソンを連れ出せ! 見せ物にして楽しもうじゃないか」という声があがったのです。サムソンは牢から連れ出され、神殿の中央の大屋根を支える二本の柱の間に立たされました。 サムソンは手を引いている若者に頼みました。 「両手を二本の柱にすがらせてくれ。 寄りかかって休みたいんだ。」
27. この時、神殿は立錐の余地もないほど、人で埋め尽くされていました。 五人の領主も臨席しており、バルコニーにも三千人の男女がひしめいて、サムソンの様子をおもしろ半分に見守っていたのです。
28. サムソンは神様に祈りました。 「ああ、神様、どうかもう一度、私のことを思い出してください。 いま一度、力をお与えください。えぐられた二つの目のためにも、報復させてください。」
29. 祈り終わると、全力を振り絞って柱を押しました。
30. 最後に彼は、「ペリシテ人もろとも死なせてください」と祈りました。すると神殿は、領主たちをはじめ、居合わせた全員の上にくずれ落ちたのです。 なんと、サムソンが死ぬ時に殺した者の数は、生きている間に殺した数より多かったのです。
31. その後、サムソンの兄弟や身内が来て遺体を引き取り、郷里に運んで、ツォルアとエシュタオルとの間にある、父マノアの墓に葬りました。 サムソンがイスラエルをさばいたのは二十年間でした。