創世記 44:12-29 リビングバイブル (JLB)

12. 調べ始めました。 いちばん上の兄の袋から始めて、だんだん末の弟まで調べていきます。 とうとうベニヤミンの番になりました。 口を開けると、どうでしょう。 信じられないことですが、杯が入っているのです。 

13. 一瞬、目の前が真っ暗になりました。 もうだめです。皆は絶望のあまり服を引き裂きました。 ろばにまた荷物を載せ、とぼとぼ引き返すよりしかたありません。 

14. ユダと兄弟たちが戻ると、ヨセフはまだ家にいました。 一同は地面にひれ伏しました。

15.  「いったいどういう了見だっ! 盗みをすれば、すぐわかるのだぞ。」

16.  ユダが恐る恐る答えました。 「ああ、どう申し上げたらよろしいのでしょう。 申し開きもできません。 私どもは無実でございます。 ですが、どうすれば、それをわかっていただけますでしょう。 きっと神様が私どもを罰しておられるのです。 いくらなんでも、弟一人をおいて行くわけにはまいりません。 兄弟みんなで戻ってまいりました。 どうぞ私どもを奴隷にしてください。」

17.  「それは許さん。 杯を盗んだ者だけが奴隷になればよい。 ほかの者は国の父のもとへ帰れ。」

18.  その時、ユダが一歩前に進み出ました。 「恐れながら、ひと言だけ申し上げます。 なにとぞごしんぼうを……。 閣下は王様と同じように、今すぐにでも私を処刑することができるお方だということは、よく承知しております。

19.  この前の時、父親や弟がいるかとのお尋ねでしたので、 

20. 私どもは正直に申し上げました。 『はい、おかげさまで父は健在です。 それから年寄り子の弟がいます。 末の弟です。 その上にもう一人、母親が同じ兄もいたのですが、ずっと前に死んで、この子だけが残りました。 そんなわけで、父はもう、目に入れても痛くないほど、かわいがっておるのです。』 

21. それを聞いて閣下は、『ぜひその子に会いたい。 ここへ連れて来るように』とおっしゃいました。 

22. 私たちは困って、『あの子は父親のもとを離れることはできません。 そんなことをしたら、まるで父のいのちを縮めるようなものです』と申し上げましたが、 

23. お聞き入れにならず、『いや、ならん。 その末の弟を連れて来なければ、二度とここへは来るな』と言われたのです。 

24. 私どもは戻って、そのとおり父に申しました。 

25. 今度、『またエジプトへ買い出しに行ってくれ』、と言われた時も、 

26. 『弟もいっしょにやってください。 でなければ行けません』と頼みました。

27.  すると、父はこう申すのです。 『おまえたちも知っているとおり、ラケルの息子は二人いた。 

28. だが兄のほうは、ある日でかけたっきり帰って来ない。 野獣にでもかみ殺されたに違いない。 あの時が最後の見収めだったのだ。 

29. それなのに、今度は、たった一人残った弟まで取り上げようというのか。 万が一にもあれの身に何か起こったら、わしは悲しみのあまり死んでしまう。』 

創世記 44