3-5. しかし、ユダが口をはさみました。 「忘れたんですか、お父さん。 『弟といっしょでなければ来てはならない』ってあの人が言ったのは、決してただの脅しじゃないですよ。 ベニヤミンがいっしょでなきゃ、あそこへは行けません。」
26. ヨセフが戻りました。 一同はていねいにおじぎをし、贈り物を差し出しました。
27. ヨセフは皆にその後のことを尋ねました。 「で、おまえたちの父親はどうしているかね。 この前もちょっと聞いたが、まだ達者かな?」
28. 「はい、おかげさまで元気でおります。」 そう言って、もう一度おじぎをしました。
29. ヨセフは弟ベニヤミンの顔をじっと見つめました。 「これが末の弟か。 そうか、この子がなあ。 どうだ、疲れてはいないか? 神様がおまえに目をかけてくださるように。」
30. ここまで言うのがやっとでした。 あまりのなつかしさに胸がいっぱいになり、涙がこみ上げてきたのです。 あわてて部屋を出て寝室に駆け込み、思いきり泣きました。
31. 泣くだけ泣くと、顔を洗い、何くわぬ顔で一同のところへ戻り、感情を押し殺して、「さあ食事にしよう」と言いました。
32. ヨセフは自分のテーブルで食事をし、兄弟たちは別のテーブルです。 またもう一つのテーブルには、エジプト人が座りました。 エジプト人はヘブル人(イスラエル人)を見くだして、いっしょに食事をしないのです。