11. 私は片手に王様のワイングラスを持っていたので、その中にぶどうの汁を絞り出し、王様にささげると、それを飲んでくださった、というんだがね。」
12. 「その夢の意味はこうですよ。 ぶどうの三本の枝は三日間ということです。
13. 三日したら、王様はあなたを牢から出し、前と同じ、ぶどう酒の毒味役に取り立ててくださいますよ。
14. その時は、私のこともよろしくお願いします。 また王様のお気に入りの地位に戻るのですから、じきじきに私のあわれな身の上を話し、ここから出られるようお口添えください。
15. 私はもともとヘブル人ですが、誘拐されてここへ来たのです。 そして、無実の罪で、牢に入れられてしまったのです。」
16. 最初の夢の解き明かしがよかったので、コック長は、わくわくしながら自分の夢を話しだしました。「わたしの夢では、頭にパンかごを三つ載せていた。
17. いちばん上のかごは、王様の召し上がるパンやケーキ類でいっぱいだった。 ところがどうだろう。 鳥が来て、片っぱしから食べてしまったんだ。」
18-19. 「三つのかごは、やはり三日間のことですよ。 ただ、あとがいけません。 三日後、あなたは死刑になります。 枝につるされ、鳥に肉をついばまれるのです。」
20. 三日後は王の誕生日でした。 それで、王宮の役人や使用人たちをみな招いて、宴会が開かれました。 そのとき王が使いをやって、ぶどう酒の毒味役とコック長を呼んだので、二人は牢から出され、王のところへ連れて来られました。
21. 王は、毒味役を前と同じ仕事に戻したのですが、
22. コック長のほうは死刑にして柱につるせ、と命じました。 ヨセフの言ったとおりです。
23. ところが、毒味役はあまりうれしくて、ヨセフのことなどすっかり忘れ、王に口添えするどころではありませんでした。