5. すると、どうでしょう。 神様がヨセフによくなさるので、ポティファルの家も祝福され、仕事は万事スムーズに運び、収穫も、羊の群れも増える一方でした。
6. 喜んだポティファルは、全財産の管理をヨセフに任せることにしました。 ヨセフさえいれば、何の心配もありません。 といっても、自分が何を食べるかまで、ヨセフに決めさせたわけではありませんが……。 ところで、ヨセフはたいへんハンサムな青年でした。
7. そのころ、困ったことが持ち上がりました。 事もあろうに、ポティファルの妻がヨセフに目をつけたのです。 いっしょに寝ようと、うるさく誘いかけます。
8. しかし、ヨセフは耳も貸しません。 「だんな様は家のこといっさいを私にお任せになりました。
9. 家では、私のすることに、決して口出ししたり、指図したりなさいません。 何もかも私の自由にさせてくださいます。 ただ奥様だけは別ですが……。 これほどまでにしていただいて、どうして、そんな大それたことができましょう。 だんな様ばかりか、神様にまで背くことなんかできません。」
10. ところが、彼女はあきらめません。 毎日毎日しつこく言い寄り、ヨセフが相手にしないと、なんとか彼の気を引こうとやっきになるのでした。
11. そんなある日のこと、ヨセフは家で仕事をしていました。 たまたま回りにはだれもいません。 この時とばかり彼女がやって来て、ヨセフの袖をつかみました。
16. 彼女は上着を手もとに置き、その夜、夫が家に帰ると、
17. 昼間の出来事を話しました。「うちで仕事をさせていらっしゃる、あのヘブル人の奴隷ですけどね、きょう私にひどいことをしようとしたんですのよ。
18. 大声をあげたから助かったものの、でなかったら、どうなったかわかりませんわ。 あの男ったら、あわてて上着を残したまま逃げ出したりして……。 これがその上着よ。」
19. 夫がかんかんに腹を立てたのは、言うまでもありません。
20. 真相をよく調べもせず、すぐさまヨセフを捕らえ、牢に放り込んでしまいました。 王の囚人が入れられる牢です。
21. しかし、神様は牢の中でさえヨセフとともにいて、何かにつけてよくなさるのでした。それで、ヨセフは看守長のお気に入りになりました。