4. 「へえーっ、でも、そいつは嘘っぱちですぜ。 死ぬだなんて、でたらめもいいところだ。
5. 神様も意地が悪いね。 その実を食べたら、善と悪の見わけがつき、神様のようになっちまうもんだから、脅しをかけるなんてさ。」
6. 言われてみれば、そう思えないこともありません。 それに、その実はとてもきれいで、おいしそうなのです。 「あれを食べたら、何でもよくわかるようになるんだわ。」 そう思いながら見ていると、もう矢も盾もたまらなくなり、とうとう実をもいで、食べてしまいました。 ちょうどそばにいたアダムにも分けてやり、いっしょに食べたのです。
7. はっと気がついたら、二人とも裸ではありませんか。 急に恥ずかしくてたまらなくなりました。 何とかしなければなりません。 間に合わせに、いちじくの葉をつなぎ合わせ、腰の回りをおおいました。
8. その日の夕方のことです。 神様が園の中を歩いておられる気配がしたので、二人はあわてて木陰に隠れました。
9. 神様の呼ぶ声が聞こえます。 「アダム、なぜ隠れるのだ。」
10. 「神様がおいでになるのに裸だったからです。 こんな姿はお見せできません。」
11. 「なにっ、裸だということを、いったいだれが教えた? さては、あれほど食べるなと言ったのに、あの木の実を食べたのだな。」