18. そんなわけで、ヤコブはラケルが好きになってしまったのです。 そこでラバンに言いました。 「もしラケルさんを妻にいただけるなら、七年間ただで働きます。」
19. 「いいだろう。 一族以外の者と結婚させるより、おまえにやるほうがいいからな。」
20. ヤコブは、ラケルと結婚したい一心で、七年間けんめいに働きました。 心から深く愛していたので、七年などあっという間でした。
21. ついに、結婚できる時がきました。「さあ、やることはみなやりましたよ。 約束どおりラケルをください。 彼女といっしょにさせてください。」
22. ラバンは村中の人を招いて大そうな祝宴を開き、ヤコブと喜び合いました。
23. ところがその夜、暗いのをさいわい、ラバンはレアをヤコブのところに連れて行ったのです。 ヤコブはそんなこととは露知らず、レアといっしょに寝ました。
24. ラバンはレアに、奴隷の少女ジルパを召使として付けてやりました。
25. 朝になりました。 ヤコブは目を覚まして隣を見ると、レアがいるではありませんか。 びっくり仰天してしまいました。憤まんやる方ありません。 ラバンのところへ行き、食ってかかりました。 「なんてひどいことをするんですかっ! ラケルと結婚したいばっかりに、ぼくは七年も骨身を惜しまず働いたんですよ。 そのぼくをだますなんて、いったい全体どういうことなんです、ええっ!」
26. 「まあまあ、気を落ち着けて。 悪かったが、私たちのところじゃ、姉より先に妹を嫁にやることはしないのだよ。
27. 一週間このままで我慢してくれたら、ラケルもやろう。 ただし、もう七年間ここで働いてもらうということにしてな。」 こううまく言い抜けられては、しかたありません。
28. ヤコブはさらに七年働くことにしました。 それでやっと、ラケルと結婚できたのです。