6. サラは大喜びです。 「神様のおかげで、私もようやく笑えるようになったわ。 私に赤ちゃんができたと知ったら、皆さんがいっしょに喜んでくれるでしょうよ。
7. まるで夢のようだわ。 年老いた主人のために、赤ちゃんを産んだのですもの。」
8. 子供は日を追って大きくなり、やがて乳離れする時になりました。アブラハムはうれしくてたまりません。 子供の成長を祝ってパーティーを開きました。
9. ところが、エジプト人の女ハガルが産んだイシュマエルが、弟イサクをからかい半分にいじめたのです。 それを目ざとく見つけたサラは、
10. アブラハムにせがみました。 「ねえ、あなた、あの女奴隷と子供を追い払ってくださいな。 跡継ぎはイサクに決まってるし、あの子に財産の分け前をやるなんて、私は絶対いやですわ。」
11. アブラハムは困り果てました。 なんと言っても、イシュマエルだって自分の子供なのです。
12. しかし神様は、アブラハムを力づけました。 「あの子と女奴隷のことは、あまり心配してはいけない。 サラの言うとおりにしなさい。 わたしの約束はまちがいなくイサクによって成就するのだ。
13. だが、ハガルの子もおまえの息子だ。 必ずその子孫の国を大きくしてやろう。」
14. 翌朝、アブラハムは早く起きました。 さっそく旅行用の弁当を用意し、水を入れた袋をハガルに背負わせると、息子といっしょに送り出しました。 二人はベエル・シェバの荒野まで来ましたが、どこといって行く先はありません。 ただあてもなくさまようばかりです。
15. やがて水も底をつきました。 もう絶望です。 彼女は子供を灌木の下に置き、
16. 自分は百メートルほど離れた所に座りました。「とても、あの子が死ぬのを見ていられないわ。」 そう言うと、わっと泣きくずれました。
17. その時、天から神様の使いの声が響きました。 神様が子供の泣き声を聞きつけたのです。 「ハガルよ、どうしたのだ。 何も恐れることはないのだよ。 あそこで泣いているあの子の声を、神様はちゃんと聞いてくださった。