21. 「よろしい。 言うとおりにしてあげましょう。 あの小さな村は滅ぼさないことにします。
22. だが急ぐのですよ。 急がなければだめですよ。 あなたが向こうに着くまで、私は何もしないから。」この時から、その村はツォアルと呼ばれるようになりました。 「小さな村」という意味です。
23. ロトが村に着くと、ちょうど太陽がのぼったところでした。
24. その時、天から、火と燃えるタールが、ソドムとゴモラの上に雨あられと降りかかりました。
25. そして、平野に点在するほかの町や村といっしょに、ソドムとゴモラをすっかり焼き尽くしてしまったのです。 人間も植物も動物も、いのちあるものはみな死に絶えました。
26. ロトの妻も、夫のあとからついて行ったのですが、警告に背いてうしろを振り返ったので、塩の柱になってしまいました。
27. その日、アブラハムは早く起きて、神様と話をした場所に急ぎました。
28. ソドムとゴモラのあった平野を見渡すと、まるでかまどのように熱気がたちこめ、煙の柱が町のあちこちに立っているのが見えます。
29. しかし神様は、アブラハムの願いを聞き入れ、ロトのいのちを救ってくださいました。 町をおおい尽くした死の災いから、彼を救い出してくださったのです。
30. のちにロトはツォアルの人々を恐れて山へ逃げ、二人の娘といっしょにほら穴で暮らしました。
31. そんなある日、姉が妹に言いました。 「このあたりには男の人がいないし、お父さんも私たちを結婚させることなんかできないわ。 それにお父さんだってすぐ年をとって、子供をつくれなくなってしまうのよ。
32. だから、お父さんをぶどう酒で酔いつぶして、いっしょに寝ましょうよ。 うちの家系が絶えないようにするには、そうするしかないわ。」
33. 相談がまとまり、二人はその夜、父親に酒を飲ませ、まず姉が父親のところに行きました。 しかしロトは、娘と寝たことはおろか、何一つ覚えていませんでした。
34. あくる朝、彼女は妹に言いました。 「ゆうべお父さんと寝たわ。 今夜また、お酒を飲ませましょう。 今度はあなたの番よ。」
35. 二人はその夜もまた父親に酒を飲ませ、妹が父親といっしょに寝ました。 前の晩と同じように、父親は、娘がそばに来たことなど全く気がつきませんでした。