3-4. 「まあまあ、そんなに先を急がないで、どうぞごゆっくり。 この木陰で少しお休みください。 水をお持ちしますから、足を洗ってさっぱりなさるといいですな。
5. 何もありませんが、食事でもいかがですか。 元気がつきますよ。 しばらく休んで、それから旅を続けられたらよろしいでしょう。」「ありがとう。 おことばに甘えて、おっしゃるとおりにさせていただきましょう。」
6. アブラハムはさっそく、テントの中のサラのところへ駆け戻りました。 「さあさあ、大急ぎでパンケーキを作ってくれ。 いちばん上等の粉でな。 お客さんが三人お見えだ。」
7. 次は家畜のところです。 走って行って、群れの中から太った子牛を選ぶと、召使に急いで料理するよう言いつけました。
8. まもなく、チーズとミルクと子牛のあぶり肉が運ばれ、食卓が整えられました。 客が食事をしている間、アブラハムはそばの木の下に立っていました。
9. 「ところで、奥さんはどちらに?」と三人が尋ねるので、「テントの中です」と答えました。
22-23. ほかの二人は、そのままソドムへ向かいましたが、神様はしばらくの間、アブラハムといっしょにあとに残りました。 アブラハムは恐る恐る神様に近づきました。 「ちょっとお伺いしてよろしいでしょうか。 神様は正しい人も悪人も同じように殺してしまうおつもりですか。
24. もしあの町に正しい人が五十人いたとしても、それでも町を滅ぼされますか。 その人たちのために町を救おうとはなさらないのですか。
25. だとしたら、正義はどこにあるのでしょう。 悪人も正しい人もいっしょに殺してしまうなんてことを、神様がなさるはずはありません。 もしも、もしもそんなことをしたら、正しい人も悪人も全く同じ取り扱いをすることになってしまいます。 決してそんなことはなさらないでしょうね。 全地をさばかれるお方は、公平でなければならないのですから。」
26. 「わかった。 正しい人が五十人見つかったら、彼らのために町全体を救うことにしよう。」
27. 「ありがとうございます。 ですが、あともう少しお伺いしてよろしいでしょうか。 こう申し上げる私自身が、ちりや灰にすぎない者だということは、よく承知しております。
28. しかし、もし正しい人が四十五人しかいない時はどうでしょう。 五人足りないだけで、町を滅ぼされますか。」「四十五人いれば滅ぼすまい。」
29. 「では、四十人しかいなかったら?」「四十人でも。」
30. 「どうぞお怒りにならないでください。 あえてお聞きするのです。 三十人ではいかがでしょう。」「やはり滅ぼすまい。」