1-2. 一行はエジプトを出て北へ向かい、ネゲブまで来ました。 アブラムと妻とロト、それに全財産という一行です。 アブラムは金持ちで、家畜と金銀をたくさん持っていました。
5. ロトも、羊や牛をはじめ、大ぜいの使用人を持っていて、非常に裕福でした。
6. ところで、たくさんの家畜の群れを持つアブラム家とロト家の両方が住むには、この土地は狭すぎます。 牧草地に比べて家畜の数が多すぎるのです。
7. 当然のこと、アブラムの羊飼いとロトの羊飼いとの間に、争いが起きました。 しかも、その地には、カナン人やペリジ人の部族も住んでおり、いつ襲われるかわからない、危険な状態だったのです。
8. アブラムはロトと話し合うことにしました。 「なあ、ロト、お互いの使用人同士のけんかは、なんとしてもやめさせなきゃなるまい。 身内同士でけんかをしても始まらん。 伯父、甥の仲じゃないか。 これからも仲よくやっていくに、こしたことはない。
9. で、こうしようと思うんだが、おまえの意見はどうだ。 まずおまえが、どこでも好きな所を選ぶのだ。 そして、私たちはここで別れる。 おまえが東の方が欲しければ、私はここへ残るし、ここがいいと言うなら、東へ移ることにしよう。」
10. ロトは、ヨルダン川周辺の水に恵まれた肥沃な平野をじーっと見つめました。 まだソドムとゴモラの町が神様に滅ぼされる前だったので、そこは、まるでエデンの園のように見えました。 エジプトやツォアル近辺の美しい田園にも似ています。
11. ロトはその土地を選びました。 東部一帯に広がるヨルダン渓谷の地です。 彼は家畜と使用人を連れ、そこへ行くことにしました。 二人はこうして別れました。
12. アブラムはカナンの地に残り、ロトは平野に下って、ソドムの町の近くに住みついたのです。
13. ただ困ったことに、この地方の住民はひどく質が悪く、神様に背くようなことばかりしていました。
14. ロトが行ってしまうと、神様はアブラムに言いました。 「さあ、四方をぐるっと見渡しなさい。 目の届く限り、遠くまでよく見るのだ。
15. その土地をすべて、おまえとおまえの子孫に与えよう。
16. また、おまえの子孫をふやそう。 砂のように数えきれないほど大ぜいにな。
17. どこへでも出かけて行って、やがておまえのものになる、この新しい土地をよく調べるのだ。」
18. アブラムはヘブロンに近いマムレの樫の木の所に移り、そこでも、神様のために祭壇を築きました。