2. そのころ、まだ神殿がなかったので、イスラエル国民は、丘の上の祭壇でいけにえをささげていました。
3. 王は神様を愛し、父ダビデの指示どおりに生活していましたが、一つだけ、いぜんとして丘の上でいけにえをささげ、香をたいているのが、彼の落度でした。
4. ギブオンの丘の祭壇が最も有名で、王はそこへ出かけ、千頭もの、完全に焼き尽くすいけにえをささげたのです。
5. するとその夜、神様が夢のうちに現われ、「何なりと望むものを求めよ。 与えてやろう」とお語りになりました。
6. ソロモンはこう答えたのです。 「神様は父に、とてもよくしてくださいました。 それと申しますのも、父が正直で、いつも神様に忠誠を尽くし、心からご命令にお従いしたからです。 神様はまた、王位を継ぐ子を授けるという祝福を、父にお与えになりました。
7. ああ、神様。 神様は、父に代わって、この私を王としてくださいました。 ところが、私は右も左もわきまえない、小さな子供と同じです。
8. しかも、神様が自らお選びになった国民の指導者として立てられました。 この国民はあまりにも多くて、とても数えきれません。
9. どうか、国民を正しく治め、善悪をはっきり見分けるために、すぐれた判断力をお与えください。 いったいだれが、自分の力でこれほどの重い責任を果たせるでしょう。」
10. ソロモンが知恵を願い求めたので、神様はことのほかお喜びになりました。
11. そこで、こうお答えになったのです。 「おまえは国民を正しく治める知恵を求めて、長生きすることや財産、または敵に勝つことを願わなかった。
12. だから、望んだものを与えよう。 それも、ずば抜けた知恵を。
13. また、望まなかった財産と名誉も授けよう。 おまえが生きている間、財産と名声でおまえにかなう者は、だれもいないだろう。
14. それだけでなく、おまえの父ダビデのように、わたしの教えを守り、わたしに従うなら、うんと長生きさせる。」
15. ここで、はっと目が覚めました。 今までのことは夢だったのです。 ソロモンはエルサレムに帰ると、さっそく神の天幕に入って契約の箱の前に立ち、完全に焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 そして役人たちを招き、盛大な祝宴を開いたのです。
16. それからしばらくして、二人の売春婦が、もめ事を解決してもらおうと、王のところへやって来ました。
19. ところが、夜中に、この女の子供は死んだのです。 寝ているうちに、この女が子供の上になり、窒息させたのです。
20. するとこの女は、私の子を取って自分のそばに寝かせ、死んだ子を私の腕に抱かせたのです。
21. 朝、お乳を飲ませようとすると、子供は死んでいるではありませんか! しかも、明るくなってからよく見ると、私の子ではありません。」
22. もう一人の女が口をはさみました。 「とんでもない。 死んだのは、まちがいなくこの女の子で、生きているほうが私の子です。」「違うわ。 死んだ赤ちゃんがあんたので、生きているのが私のよ。」 先の女も、負けずに言い返します。 二人は王の前で言い争ったのです。