出エジプト記 2:1-2-17 リビングバイブル (JLB)

1-2. そのころ、あるヘブル人の若い男女が結婚しました。 二人ともレビ部族の出身でした。 やがて、二人の間に男の子が生まれました。 玉のようにかわいらしい赤ん坊です。 どうして、川へなど投げ込めましょう。 母親は三か月のあいだ家に隠しておきました。 

3. もうそれ以上は隠しきれません。 彼女はパピルス製のかごにタールを塗って防水し、赤ん坊を入れると、ナイル川のほとりの葦のしげみに、そっと置きました。 

4. その子の姉が遠くから、弟がどうなるのか見守っていました。

5.  さて、それから何が起こったでしょう。 王女が、ちょうどそのとき川へ水浴びに来たのです。 侍女たちを従えて岸を歩いていると、葦の間に小さなかごがあります。 何だろうと思って侍女をやり、それを引いて来させました。 

6. 開けてみて驚きました。 中で赤ん坊が泣いているではありませんか。 「まあ、かわいそうに! きっとヘブル人の赤ちゃんだわ。」 王女は思わず叫びました。

7.  それを見ていた姉が、この時とばかり王女のそばへ駆け寄りました。 「王女様、その赤ちゃん、お育てになりますか? だったら、お乳をあげる女がいりますよね。 だれかヘブル人の女の人を捜して来ましょうか?」

8.  「よく気のつく子だね。 そうしておくれ。」 王女の返事を聞いて、少女はうれしくてたまりません。 家へ飛んで帰り、母親を呼んで来ました。

9.  「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」 王女は子供の実の母親とも知らず頼みました。 もう何の遠慮もいりません。 彼女は子供を抱いて家へ帰りました。

10.  やがて、その子は大きくなり、養子として正式に、王女のやしきへ引き取られました。 王女は彼をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。 水の中から引き出した子供だからです。

11.  それから何年かたちました。 モーセはりっぱに成長し、一人前の大人になっていました。 ある日、彼は同胞のヘブル人を訪ねようと外出したのです。 ところが、目にしたのは、あまりにもひどい有様でした。 初めて同胞の苦しみを知ったモーセの血は騒ぎました。 ちょうどその時、エジプト人がヘブル人を地べたになぐり倒しているところへ、出くわしたのです。 自分と同じヘブル人がやられている。 そう思うと見過ごせません。 

12. 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺し、死体を砂の中に隠しました。

13.  次の日もまた、ヘブル人を訪ねましたが、今度はヘブル人同士でけんかしています。 「同じヘブル人なのに仲間をなぐるとは、いったいどういうつもりだ。」 モーセは悪いほうの男を責めました。

14.  男も負けてはいません。 「ふん、いらぬおせっかいよ。 だいたい、そういうおまえこそ何者だい。 まるで王様か裁判官みたいな口をきくじゃないか。 きのうのエジプト人だけじゃ足りず、おれまで殺そうってのかい。」 あんなに用心したのに、きのうの事がばれているのです。 モーセは非常に不安になりました。 

15. そして心配したとおり、エジプト人殺害の話は、王の耳にも達したのです。 王は、「直ちにモーセを逮捕し、処刑せよ」と命じました。 絶体絶命です。 モーセはミデヤン(アラビヤ半島の北西部、アカバ湾沿岸)の地へ逃げることにしました。 こうして、とある井戸のかたわらに座っていると、 

16. ミデヤンの祭司の娘が七人、水くみにやって来ました。父親の羊の群れに飲ませるのです。 ところが、いよいよ水おけに水をくみ始めると、 

17. あとから来た羊飼いたちが、娘たちを追い払いにかかるではありませんか。 そこで、モーセは彼女らに手を貸し、群れに水を飲ませました。

出エジプト記 2