1. やがて、モーセのしゅうと、ミデヤンの祭司イテロのもとに知らせが届きました。 神様がご自分の国民とモーセのために、どんなにすばらしいことをなさったか、どのようにしてイスラエル人をエジプトから助け出されたか、知らされたのです。
2. イテロはモーセの妻チッポラを連れ、モーセのところへ来ました。 妻は実家に帰してあったのです。
3-4. 二人の息子もいっしょでした。 ゲルショム〔「外国人」の意〕とエリエゼル〔「神様は私の助け」の意〕です。 こういう名がついたのは、上の子が生まれた時、モーセは、「私は外国をさまよう放浪者だ」と言い、次の子の時は、「ご先祖の神様は私を、エジプト王の剣から助け出してくださった」と言ったからです。
5-6. 一行が来たのは、ちょうど人々がシナイ山のふもとで野営していた時でした。「わしだ、イテロだよ。 チッポラと孫たちを連れて、会いに来たぞ。」
10. 「神様はすばらしい。 ほんとうにあなたがたをエジプトと王の圧制から救ってくださったんだ。 イスラエル人を助けてくださったんだ。
11. わしらの信じる神様のように偉大な方は、ほかにいない。 今度こそ、それがよくわかったよ。 なにしろ、あの傲慢で残忍なエジプト人から、ご自分の国民を救い出したんだからな。」
12. イテロは神様にいけにえをささげました。 そのあと、アロンやイスラエルの指導者たちも会いに来て、みんなでいっしょに食事をし、神様の恵みを感謝し合いました。
13. 翌日、モーセはいつものように座って、朝から夕方まで人々の不平を聞き、訴えを裁いていました。
14. 全く息つく暇もありません。 あまりの忙しさに驚いたイテロが聞きました。 「一日中こんなに大ぜいの人が、助言してもらおうとここにやって来るんだろう? どうして、この山のような仕事を一人きりで片づけようとするのかね。」
15-16. 「それはですね、難しい問題があると、みな私のところへ来て神様の判断を仰ぐんです。 判事は私です。 どちらが正しいか、どちらが間違っているかを決めたり、神様が求める生き方はどういうものかを教えたりします。 私がみんなのために神様の法律を実際の情況に当てはめて適用するわけです。」
17. 「うーん、よくないな。
18. こんなやり方を続けていたら、おまえのほうがまいってしまうよ。 もしおまえが倒れたら、みんなはどうなるかね? 何もかも一人で片づけるには、少し荷が勝ちすぎるんじゃないか。
19-20. 余計なおせっかいかもしれんが、わしの意見を聞いてもらえまいか。 神様のお助けがなければどうにもならんが……。 おまえはこの人たちの、顧問弁護士になったらいいと思うが、どうだろう。 人々を代表して神様の前に立つということだな。 彼らの問題を神様のもとへ持って行って決定していただき、その決定を伝える。 人々に神の法律を教え、正しい生活を送る原則を示すというわけだ。
21. ほかに有能な、信心深い、わいろなど取らない正直な人物を捜し、問題の処理にあたらせたらどうだ。 千人につき一人そういう指導者を選び、その下に十人の責任者を置く。 それぞれが百人のめんどうを見るというわけだ。 さらにその下に、五十人の問題を処理する者を二人ずつ置き、その二人がまた、十人の相談相手になる者を五人ずつ受け持つ。
22. これらの人たちがいつでも問題の処理にあたって、正しく職務を果たせるようにする。 特に重要な問題とか難しい問題は、おまえのところへ直接持って来させるが、小さな問題は彼らに任せる。 こうやって、少しずつ責任を分担すれば、おまえも少しは楽になれるというものだ。
23. どうだ、わしの言うとおりにしてみんか。 神様も、きっと賛成してくださると思うがな。 こうすれば、どんな大へんな仕事もやり抜けるだろう。 野営地の中も平穏無事になるしな。」
24. モーセは、イテロの提案を受け入れることにしました。
25. すべてのイスラエル人の中から有能な人物を選び、人々の指導者に任命しました。 千人、百人、五十人、十人、それぞれのグループごとに指導者を置いたのです。
26. この人たちは、問題が起こればすぐ解決して、正しい判決を下すことができるようになっていました。 難しい問題はモーセのところへ持って来ますが、小さな問題は自分たちだけで裁きました。
27. それから間もなく、しゅうとのイテロはモーセに別れを告げ、国へ帰りました。