1. やがて、モーセのしゅうと、ミデヤンの祭司イテロのもとに知らせが届きました。 神様がご自分の国民とモーセのために、どんなにすばらしいことをなさったか、どのようにしてイスラエル人をエジプトから助け出されたか、知らされたのです。
2. イテロはモーセの妻チッポラを連れ、モーセのところへ来ました。 妻は実家に帰してあったのです。
7. イテロがそう伝えさせると、モーセは大喜びで迎えに出、心からのあいさつを交わしました。 さっそくその後の消息を尋ね合い、それからモーセのテントに入って、心ゆくまで語り合うのでした。 積もる話に、時のたつのも忘れるほどです。
8. モーセはイテロに、今までのことをくわしく話しました。 イスラエル人を救うために、エジプトの王と国民に神様が何をしてくださったか、ここまで来る途中どんな問題が起こり、神様がそれをどのように解決してくださったか、くわしく話したのです。
9. イテロは、神様がイスラエル人を心にかけ、エジプトから助け出してくださったことで大喜びです。
10. 「神様はすばらしい。 ほんとうにあなたがたをエジプトと王の圧制から救ってくださったんだ。 イスラエル人を助けてくださったんだ。
11. わしらの信じる神様のように偉大な方は、ほかにいない。 今度こそ、それがよくわかったよ。 なにしろ、あの傲慢で残忍なエジプト人から、ご自分の国民を救い出したんだからな。」
12. イテロは神様にいけにえをささげました。 そのあと、アロンやイスラエルの指導者たちも会いに来て、みんなでいっしょに食事をし、神様の恵みを感謝し合いました。
13. 翌日、モーセはいつものように座って、朝から夕方まで人々の不平を聞き、訴えを裁いていました。
14. 全く息つく暇もありません。 あまりの忙しさに驚いたイテロが聞きました。 「一日中こんなに大ぜいの人が、助言してもらおうとここにやって来るんだろう? どうして、この山のような仕事を一人きりで片づけようとするのかね。」
15-16. 「それはですね、難しい問題があると、みな私のところへ来て神様の判断を仰ぐんです。 判事は私です。 どちらが正しいか、どちらが間違っているかを決めたり、神様が求める生き方はどういうものかを教えたりします。 私がみんなのために神様の法律を実際の情況に当てはめて適用するわけです。」
17. 「うーん、よくないな。
18. こんなやり方を続けていたら、おまえのほうがまいってしまうよ。 もしおまえが倒れたら、みんなはどうなるかね? 何もかも一人で片づけるには、少し荷が勝ちすぎるんじゃないか。
19-20. 余計なおせっかいかもしれんが、わしの意見を聞いてもらえまいか。 神様のお助けがなければどうにもならんが……。 おまえはこの人たちの、顧問弁護士になったらいいと思うが、どうだろう。 人々を代表して神様の前に立つということだな。 彼らの問題を神様のもとへ持って行って決定していただき、その決定を伝える。 人々に神の法律を教え、正しい生活を送る原則を示すというわけだ。
21. ほかに有能な、信心深い、わいろなど取らない正直な人物を捜し、問題の処理にあたらせたらどうだ。 千人につき一人そういう指導者を選び、その下に十人の責任者を置く。 それぞれが百人のめんどうを見るというわけだ。 さらにその下に、五十人の問題を処理する者を二人ずつ置き、その二人がまた、十人の相談相手になる者を五人ずつ受け持つ。
22. これらの人たちがいつでも問題の処理にあたって、正しく職務を果たせるようにする。 特に重要な問題とか難しい問題は、おまえのところへ直接持って来させるが、小さな問題は彼らに任せる。 こうやって、少しずつ責任を分担すれば、おまえも少しは楽になれるというものだ。
23. どうだ、わしの言うとおりにしてみんか。 神様も、きっと賛成してくださると思うがな。 こうすれば、どんな大へんな仕事もやり抜けるだろう。 野営地の中も平穏無事になるしな。」