2. 「引き返して、ミグドルと海との間、バアル・ツェフォンに面したピ・ハヒロテへ向かいなさい。 そこの岸辺にテントを張るのだ。
3. エジプト王はきっと、『イスラエル人どもは砂漠と海の間で立ち往生しているに違いない』と考えるだろう。
4. そして、またもや片意地を張り、あとを追いかけて来る。 すべてわたしの思うつぼだ。 王とその軍隊に、いやと言うほどわたしの力と栄光を見せてやろう。 エジプト人も今度こそ、わたしが神であることを認めないわけにはいくまい。」一行は神様から命じられた場所に野営しました。
5. 三日たってもイスラエル人はエジプトへは戻らず、そのまま逃げ出すつもりらしい、という知らせが届くと、王と家来たちはまた気が大きくなりました。 「あの奴隷どもをみな逃がすとは、なんというばかなことをしてしまったのだ。」
6. このまま放っておく手はありません。 王は戦車に跳び乗り、先頭に立って追跡隊の指揮をとりました。
7. あとには、エジプト戦車隊の精鋭六百と将校の戦車が続きます。
8. こうして追跡が始まりました。 みすみすエジプトの富を持って行かせるのは、なんとしてもしゃくにさわります。
9. 馬、戦車、騎手と、王の全機動部隊が追跡作戦に駆り出されました。 エジプト軍は、イスラエル人がバアル・ツェフォンの手前、ピ・ハヒロテの岸辺に野営していたとき追いつきました。
10. イスラエル人が見ていると、はるかかなたからエジプト軍がやって来ます。 それがだんだんスピードを増して近づいて来るのです。 人々はすっかり震え上がり、神様に助けを求めました。
11. そして、モーセには泣き事を言うのでした。 「エジプトには墓が足りないから、こんな砂漠まで連れ出して、死なせようというんですか。 これじゃ、何のためにエジプトから逃げ出したかわかりませんよ。
12. だいたい初めからおかしいと思った。 だからあの時も、このまま放っておいてくれって言ったんだ。 荒野で死ぬくらいなら、エジプトで奴隷になってたほうがまだましだ。」
13. しかし、モーセは言いました。 「みんな、こわがってはいけない。 今いる場所にしっかり腰をすえて、きょう神様がすばらしい方法で救ってくださるのを、よく見ようじゃないか。 あのエジプト人を見るのも、きょうが最後だ。