使徒行伝 7:20-39 リビングバイブル (JLB)

20. モーセが生まれたのは、ちょうどこのような時でした。 彼は神様の目にかなった、かわいらしい子供でした。 両親は、三か月の間、家の中に隠しておきましたが、 

21. とうとう、それ以上は隠しきれなくなり、しかたなく捨てることにしました。 ところが、エジプト王パロの娘が、その子を見つけ、養子として育てることになったのです。

22. こうして、モーセはエジプトの最高の教育を受け、たくましく、雄弁な王子に成長しました。

23. 四十歳の誕生日が近づいたある日、モーセは、同胞のイスラエル人のところへ行って見よう、と思い立ちました。 

24. ところが、行ってみると、どうでしょう。 一人のエジプト人が、イスラエル人を虐待しているではありませんか。 モーセはイスラエル人をかばおうとの一心から、相手のエジプト人を殺してしまいました。 

25. モーセは、イスラエル人を助けるために、神様が自分をお遣わしになったと認めてもらえるだろうと、かってに決め込んでいました。ところが、現実は、思いどおりにいきません。

26. 翌日、もう一度出かけて行くと、今度はイスラエル人同士で争っているのにぶつかりました。 モーセは間に割って入り、『兄弟同士じゃないか。 けんかなんかやめろ』と押しとどめました。

27. すると、相手を痛めつけていたほうの男が、よけいな口出しをするな、とわめきました。 『やいやい、だれがあんたを、おれたちの支配者や裁判官にしたんだよー。 

28. ええっ、どうなんだい。 昨日、あのエジプト人を殺したみたいによー、おれまで殺そうってのかい。』

29. これを聞いて、モーセはまずいことになったと、エジプトを逃げ出し、ミデアンの地に身を寄せました。 そこで、二人の子供をもうけたのです。

30. それから四十年の歳月が流れました。 ある日のことです。 シナイ山に近い荒野で、御使いが柴の燃える炎の中に現われました。 

31. モーセはその光景に驚き、何事かと一目散に駆け寄ってみると、主の声が聞こえてきました。 

32. 『わたしはあなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』 モーセはすっかり震え上がり、顔を上げる勇気もありません。

33. 主は続けて語られました。 『くつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地だから。 

34. わたしは、エジプトで苦しめられているわたしの民の姿を見、またその叫びを聞いた。 わたしは彼らを救い出そうと下って来たのだ。 行け。 わたしが、あなたをエジプトに遣わすのだ。』 

35. こうして神様は、『だれがあんたを、おれたちの支配者や裁判官にしたのかよ』と、ユダヤ人たちに退けられたモーセを、もう一度、エジプトに帰らせたのです。 モーセは初めて、イスラエル人の支配者、また解放者となったのです。 

36. モーセは、数々の驚くべき奇蹟によって、人々をエジプトから連れ出し、紅海を横断して、四十年にわたる荒野での生活を指導しました。

37. このモーセが、『神様はあなたがたの中から、私のような預言者をお立てになる』と、イスラエルの人々に宣言したのです。 

38. モーセは荒野では、神様と人との仲介者でした。 すなわち、シナイ山で、神のおきてである、いのちのことばを御使いから受け、それをイスラエルの人々に与える役を果たしたのです。

39. しかしご先祖は、モーセの言うことに従おうとせず、しきりにエジプトに帰りたがりました。 

使徒行伝 7