6. ここで、親衛隊の士官は、アレキサンドリヤから来た、イタリヤ行きのエジプト船を見つけ、私たちを乗り込ませました。
9. そこに数日とどまりましたが、もう秋分も過ぎ、天候も、長期の航海には危険な時期になっていました。 パウロは航海士たちに忠告しました。
10. 「皆さん。 このまま進んだら、きっとひどい目に会いますよ。 難破して積荷を失うだけならまだしも、けが人や死者が出るかもしれません。」
11. しかし囚人を護送している士官は、パウロのことばよりも、船長や船主のことばに耳を傾けたのです。
12. その上、この「良い港」は吹きさらしの場所で、冬を越すには適していないこともあって、大部分の船員も、海岸沿いにピニクスまで行き、そこで冬を過ごしたほうがいいと主張しました。 ピニクスは北西と南西だけが入口になっている良港でした。
13. 折からおだやかな南風が吹き始め、絶好の航海日和と思われたので、船は錨を上げ、沿岸を進み始めました。
16. しかし、ようやくクラウダという小島の陰に入り、ほっとひと息です。 引いていたボートを、なんとか甲板に引き上げ、
17. 船をロープで縛って、船体を補強しました。 また、アフリカ海岸の浅瀬に乗り上げないように、船具をはずし、風に流されるままにしました。
18. 翌日、波はさらに高くなり、船員たちは積荷を捨て始めました。