2. 総督の前に呼び出されたテルトロは、でたらめの告訴理由を並べ立てました。「閣下。 われわれユダヤ人がおだやかで平和な生活を送れますのも、みな、あなた様のおかげでございます。 また、われわれに対する差別待遇の問題も驚くほど改善され、
3. 一同、心から感謝いたしております。
4. さて、あまりくどくならぬよう、手短に、この男に対する訴えの筋を申し上げますので、何とぞ、お聞き届けください。
5. このパウロは全く人騒がせな男で、ナザレ人という一派の首領におさまり、世界中を駆け巡ってユダヤ人をたきつけ、ローマ政府に反乱を起こそうとしているのでございます。
6. その上、神殿までも汚そうとしたので、引っ捕らえたしだいでございます。われわれとしては、当然の罰を加えようとしただけですのに、
7. 守備隊司令官のルシヤ様が、この男を力ずくで奪い、
8. ローマの法律で裁判しろとお命じになったのです。 閣下がお調べくだされば、われわれの正しいことがおわかりいただけると存じます。」
9. ほかのユダヤ人たちも、口をそろえて、テルトロの言うとおりだ、とくり返しました。
10. 次に総督は、身ぶりでパウロをうながしました。 パウロは立ち上がり、釈明を始めました。「閣下が長年にわたり、ユダヤ人の問題をさばいてこられたことは、よく存じ上げております。 ですから、安心して釈明させていただきます。
11. お調べくださればすぐにわかることですが、私が神殿で礼拝するためにエルサレムに着いてから、十二日しかたっておりません。
12. 私はどこの会堂でも町でも、騒ぎを起こせと人々をそそのかしたことなど、一度もございません。
13. この人たちは、何一つ証拠をあげられないはずです。