1. 次に私は、世界中のしいたげと悲しみを見ました。 しいたげられる人が涙を流しても、だれも手を貸そうとしません。 一方では、しいたげる者たちは、しっかりと手を組んでいます。
2. ですから、死んだ人のほうが生きている人よりましだと思いました。
3. 中でもいちばん幸福なのは、生まれて来なかった人で、地上の悪を見たことのない人です。
4. 次に、物事を成功させる原動力は、ねたみであることを知りました。 これもまたばかげたことで、風をつかむような話です。
5-6. ばか者は、いっこうに働こうとせず、餓死すれすれの線をさまよいます。ところが結局は、空しいの一語に尽きるような労働を続けるより、のんびりその日暮らしをするほうが、ましだとわかるのです。
10. 片方が倒れても、もう一方が起こせます。 ところが、一人の時に倒れたとなると、なんとも惨めです。
11. また、寒い夜、二人が一枚の毛布をかぶって寝ても、お互いの体温で暖かくなります。 しかし、ひとりでは、どうにも暖まることができません。
12. 一人では、攻撃を受けると負けてしまいます。 しかし二人なら、背中合わせになって戦うことができ、相手に勝つことができます。 三人なら、なお結構です。 三つ撚りの糸は、めったなことでは切れないからです。
13. 貧乏でもりこうな若者は、どんな忠告も受けつけない年取ったばかな王よりましです。
14. そんな若者は、牢獄から出て立身出世することでしょう。 それどころか、生まれが卑しくても、王にだってなれるかもしれません。
15. こんな若者なら、たとい王位を奪うことであっても、人々は喜んで協力するに違いありません。
16. こうして彼は、幾百万もの人の指導者となり、非常に有名になるかもしれません。 ところが、次の世代の人は、彼を追放してしまいます。 これもまたばかげたことで、風をつかむような話です。