1. ある日、ナオミはルツに話しかけました。「ねえ、ルツや。 そろそろあんたも良いお婿さんを見つけて、しあわせにならなきゃね。
2. 実はね、これはと思っている人があるの。 あのボアズさんよ! あの方はとっても親切にしてくださったし、近い親戚でもあるしね。たまたま耳にしたんだけど、今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けるって話よ。
3. さあ、言うとおりにしておくれ。 体を洗って香水をつけ、きれいな服を着て、打ち場へお行き。 ただし、あの方が夕食をすますまでは気づかれないようにね。
4. あの方がお休みになる場所をちゃんと見届けてから、そおっと入って行き、足もとのおおいをまくって横になりなさい。 あとは、あの方が教えてくださるよ。結婚についてどうすべきかはね。」
5. 「わかりました。 おっしゃるとおりにしますわ。」
6-7. ルツはしゅうとめに教えられたとおり、その夜、打ち場に出かけて行きました。 ボアズは食事をすますと、すっかり上機嫌で、積み重ねてある麦のそばにごろっと横になり眠ってしまいました。 この時とばかり、ルツはそっと忍び寄り、ボアズの足もとのおおいをまくって横になりました。
8. 真夜中に目を覚ましたボアズは、びっくりして跳び起きました。 なんと、足もとに女が寝ているではありませんか。
9. 「そこにいるのは、だれだっ!」「ルツでございます。 どうぞ、神様のおきてに従って私を妻にしてください。 あなた様はその権利がおありですわ。」
15-18. 「肩かけを持っておいで。」 ボアズはそう言うと、大麦を二十一リットルほどその中へ入れ、しゅうとめへのみやげにと背負わせてくれました。 こうしてルツは町へ帰りました。帰宅すると、ナオミが「どうだったね」と尋ねます。 聞かれるままに一部始終を話し、ボアズからことづかった大麦を手渡しました。そして、「何も持たずに帰ってはいけないよ」と言ったボアズのことばも、忘れずに伝えました。ナオミはうなずきました。 「そう、じゃあどうなるか、何か知らせがあるまでおとなしくしていましょう。 ボアズさんのことですもの、決着がつくよう、最善を尽くしてくださるわ。 きっと、きょう中にもめどをつけてくださいますよ。」