5. 「一人の農夫が、種まきをしようと畑に出かけました。 種をまいているうちに、ある種は道ばたに落ちて、踏みつけられ、そのうち鳥が来て食べてしまいました。
6. 土の浅い石地に落ちた種もありました。 それは芽を出したのですが、水分が足りないので、すぐ枯れてしまいました。
7. いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらがいっしょに生え出て、結局、生長できませんでした。
8. しかし、中には良い土壌に落ちた種もありました。 それはぐんぐん育ち、まいた種の百倍もの実を結びました。」イエスは話しながら、「聞く耳のある人はよく聞きなさい」と、みんなの注意をうながされました。
9. 「このたとえはどういう意味なんですか。」弟子たちに質問されて、
43-44. 途中で、一人の女が、いやされたい一心で、うしろからイエスにさわりました。 十二年もの間、出血の止まらない病気に悩まされ、どうしても治らなかったからです。 ところが、イエスの着物のふさにさわったとたん、出血は止まりました。
45. イエスは、「わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。 みんながめいめい自分ではないと答えた時、ペテロが口を出しました。 「先生。 わかりっこありませんよ。 回りにはこんなに大ぜいの人がひしめき合っているんですから……。」
46. 「いや、だれかがさわりました。 力が出て行くのを感じたのですから。」
47. 女は、イエスが何もかもご存じなので、わなわな震えだしました。 とても隠しきれません。 しかたなくイエスの前にひれ伏し、さわった訳とすっかりよくなったこととを、包み隠さず打ち明けました。
48. イエスは女に、「あなたの信仰があなたを治したのですよ。 さあ、安心してお帰りなさい」とおっしゃいました。
49. まだイエスが話し終えないうちに、ヤイロの家から使いの者が駆けつけ、こう言いました。 「だんな様っ! お嬢様は、たった今お亡くなりに……。 先生にわざわざおいでいただいても、手遅れでございます。」
50. これを聞いて、イエスはヤイロに言われました。 「恐れないで、わたしを信じていなさい。 娘さんは必ずよくなりますから。」
51. 家に着くと、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブの三人の弟子と、両親のほかはだれも、中へ入ってはいけないと言われました。
52. 家の中は嘆き悲しむ人でごった返していたのです。 「もう泣くのはやめなさい。 娘さんは死んだのではありません。 ただ眠っているだけです。」
53. 娘が死んだことをよく知っていた人々は、このイエスのことばをあざ笑いました。
54. イエスが手を取り、「さあ、起きなさい」と呼びかけると、
55. その瞬間、娘は生き返り、すぐに起き上がったではありませんか。 イエスは何か食べさせるようにとお言いつけになりました。
56. あまりのことに、両親はあっけにとられていたからです。 そして、このことをだれにも話さないようにと、堅く口止めなさいました。イエス、神の国を告げ知らせる