ルカによる福音書 23:17-18-28 リビングバイブル (JLB)

2. そして、口々に訴えました。 「こやつは、ローマ政府に税金を納めるなとか、自分こそメシヤ(救い主)だの、王だのとぬかし、国民を惑わした不届き者でございます。」

3.  ピラトはイエスに問いただしました。 「ほんとうに、おまえはユダヤ人のメシヤであり、王なのか。」「そのとおりです。」

4.  ピラトは祭司長や群衆のほうを向き、「この男には罪はないではないか」と言いました。

5.  これを聞いて、人々は狂ったように叫びました。 「とんでもございません! こやつはガリラヤからエルサレムまで、ユダヤ全国、至る所で民衆をたきつけ、暴動を起こそうとしたんですよっ!」

6.  そこでピラトは、「では、この男はガリラヤ人なのか」と尋ね、 

7. 人々がそうだと答えると、イエスをヘロデ王のもとへ連行するように命じました。 ガリラヤはヘロデの支配下にあり、その時ヘロデは、ちょうどエルサレムに滞在中だったからです。 

8. イエスに会えて、ヘロデは大喜びでした。 前々からイエスのうわさを耳にし、ぜひ一度、奇蹟を見たいものだと思っていたのです。

9.  ヘロデはイエスを前にして、次から次へと質問をあびせました。ところがイエスは、きっと口をつぐみ、何一つお答えになりません。 

17-18. しかし、人々はいっせいにわめき立てました。 「そいつを殺せっ! バラバを釈放しろっ!」 

19. バラバとは、エルサレムで、政府転覆を図った罪と殺人罪とで、投獄されていた男でした。 

20. ピラトは、なんとかしてイエスを釈放しようと、なおも、群衆を説得しようとしましたが、 

21. 彼らは聞き入れません。 「十字架だっ! 十字架につけろっ!」と叫び続けるばかりです。

22.  ピラトは、三度目に念を押しました。 「どうしてだっ! この男がどんな悪事を働いたというのか。 死刑を宣告する理由など見つからん。 だから、むち打ってから釈放してやるつもりだ。」 

23. それでも、騒ぎはおさまりません。 ますます大声で、イエスを殺せとわめき立てる群衆の声に、ついに、ピラトも負けてしまいました。

24.  しかたがありません。 要求どおり、イエスに死刑を宣告し、 

25. 反逆罪と殺人罪で投獄されていたバラバを釈放しました。 イエスのほうは、すぐに人々の手に渡し、好きなようにさせました。

26.  イエスを刑場に引いて行く途中、田舎からエルサレムに着いたばかりの、シモンというクレネ人に会いました。 全く好都合です。 むりやり十字架を背負わせ、イエスのうしろから運ばせました。 

27. 大ぜいの群衆や、悲しみに打ちひしがれた婦人たちが、あとから、ぞろぞろついて行きます。

28.  イエスは婦人たちのほうをふり向き、とぎれとぎれに言われました。 「エルサレムの娘たちよ……。 わたしのために泣いてはならない。 自分と、子供たちのために、泣きなさい……。 

ルカによる福音書 23