ルカによる福音書 20:10-29 リビングバイブル (JLB)

10. やがて、収穫の季節になりました。 主人は代理の者をやり、分け前を受け取ろうとしました。ところが、農夫たちはどうしたでしょう。 代理人を袋だたきにし、手ぶらで追い返したのです。 

11. また別の代理人を送りましたが、彼もまた袋だたきにされ、さんざん侮辱されたあげく、手ぶらで追い返されました。 

12. 三人目の代理人も同じこと、傷を負わされ、ほうほうのていで逃げ帰りました。

13.  考えあぐねた主人は、一人つぶやきました。 『いったい、どうしたものか……。 そうだ! 息子をやろう。 かわいいやつだ。 息子なら、きっと農夫たちも一目おくに違いない。』

14.  ところが、当の農夫たちは、主人の息子が来るのを見て、『おい、絶好のチャンスだぞ。 ありゃあ、跡取り息子だ。 さあ、あいつを殺っちまおうぜ。 そうすりゃあ、ぶどう園はおれたちのものよ』とささやき合いました。

15.  そのことばどおり、農夫たちは息子をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。さて、主人はどうするでしょう。 

16. 今度は自分で乗り込み、農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すに決まっています。」この話を聞いていた人たちはみな、「そんな恐ろしいことがあるなんて、とても考えられません」と答えました。

17.  しかしイエスは、人々の顔をぐるりと見回しながら、おっしゃいました。 「では、聖書(旧約)に、『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石となった』と書いてあるのは、どういう意味ですか。」 

18. さらにことばをお続けになり、「この石につまずく者はみな、打ち砕かれます。 反対に、この石が落ちてくれば、だれもかれも、こっぱみじんです」と言われました。

19.  祭司長や宗教的指導者たちは、この話を聞いて、その悪い農夫とは、実は自分たちのことなのだと気づき、すぐにもイエスを捕らえたいと思いました。 しかし群衆の暴動がこわくて、どうにも手出しができません。 

20. そこでローマ総督に報告できる逮捕の口実をつかもうと、何とかして不利になることを言わせようと、やっきになりました。 こうして機会をねらっていた彼らは、正直者のふりをしたスパイどもをイエスのもとにやり、 

21. こう質問させました。 「先生。 私どもは、あなた様がどんなに正直な教師か、よく承知しております。 あなた様はいつも真理を語り、他人の思わくなど気にせず、ひたすら、神の道を教えておられます。 

22. それで、ぜひ、お教えいただきたいのですが……、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。 それとも……。」

23.  彼らの計略は見えすいています。 イエスは言われました。 

24. 「銀貨を見せなさい。 ここに刻まれているのは、だれの肖像、だれの名前ですか。」「カイザル(ローマ皇帝)のもので。」

25.  「それなら、皇帝のものは、皇帝に返せばいいでしょう。 しかし、神のものはみな、神に返さなければなりません。」

26.  公衆の面前でイエスのことばじりをとらえようとするたくらみは、みごと失敗に終わりました。 彼らは、イエスの答えに恐れ入り、返すことばもありません。

27.  次にやって来たのは、死んでしまえばそれまでで、復活などありえないと主張していた、サドカイ人たち(神殿を牛耳っていた祭司階級。ユダヤ教の主流派)でした。

28.  「モーセの法律には、もしある人が子供のないまま死んだら、弟は残された未亡人と結婚しなければならず、二人の間にできた子供は、法律的には死んだ者の子として、その家を継ぐ、と書いてあります。 

29. ところで、七人兄弟がいたとします。 長男は結婚しましたが、子供がないまま死んだので、 

ルカによる福音書 20