1-2. イエスはエリコの町を通り過ぎるところでした。 この町には、ローマの税金取り立ての仕事をしているザアカイという男がいました。取税人の中でもとりわけ権力をふるっていた、たいへんな金持ちでした。
3. さて、このザアカイも、ひと目イエスを見ようと思いましたが、なにぶん背が低いので、いくら背伸びをしても、人垣のうしろからは何も見えません。
4. そこで、ずっと先のほうに走って行き、道ばたにあったいちじく桑の木によじ登り、見下ろしていました。
5. やがて、そこへ差しかかったイエスは、ザアカイを見上げると、彼の名を呼んで、「ザアカイさん。 早く降りてきなさい。 今晩はあなたの家に泊めてもらうつもりでいますから」と言われました。
6. ザアカイは急いで降りると、大喜びでイエスを家に迎えました。
7. しかし、これを見ていた人々の心中は、おだやかではありません。「なにも、あの札つきの悪党の家の客にならなくても……」と、ぶつぶつ文句を言いました。
8. 一方、ザアカイは主の前で、こう告白したのです。 「先生。 今からは、財産の半分を貧しい人たちに分けてあげます。 税金を取り過ぎた人たちには、四倍にして払い戻します。」
11. イエスがいよいよエルサレムに近づくのを見て、今すぐにでも神の国が実現するのではないか、と早合点した人々がいました。 そのまちがいを正そうと、イエスはたとえ話を一つなさいました。
12. 「ある所に身分の高い人が住んでいました。 やがてその地方の王に任命されるため、遠くの首都に出かけることになりました。
13. そこで、出発前に十人の家来を呼び寄せ、留守中に事業を始めるようにと、めいめいに六十万円ずつ渡しました。