11. そこに、十八年もの間、腰が曲がったきりで、全然伸ばすことのできない女がいました。
12. イエスは女をそばへ呼び、「さあ、あなたの病気は治りましたよ」とおっしゃいました。
13. イエスがさわると、どうでしょう。 たちまち腰はしゃんとなったではありませんか。 女は喜びを抑えきれず、神をあがめ、賛美しました。
14. ところが、会堂のいっさいの責任を持っていた、この地方のユダヤ人の指導者は、それが安息日だというので、もうれつに腹を立て、群衆に怒りをぶちまけました。 「よりによって安息日に病気を治してもらうなど、もってのほかだっ! 仕事のできる日は、一週間に六日もあるだろうが。 その間に治してもらえ。」
15. 「いいえ、あなたがたこそ偽善者です。 安息日に働いていないと言いきれるのですか。 安息日でも、家畜を小屋から出してやり、水を飲ませに連れて行くではありませんか。
16. わたしは今、十八年もの間サタンに束縛されていた、ユダヤ人の女を解放してあげたのです。 たまたまそれが安息日だったからといって、どこがいけないのですか。」
17. このイエスのことばに、敵対する者たちは、ぐうの音も出ず、恥じ入るばかりでした。 群衆はと言うと、イエスの行なったすばらしい奇蹟に大喜びです。
18. そこでイエスは、神の国について教え始められました。「神の国は何に似ているでしょう。 どういうふうに説明したらいいでしょう。
19. そう、神の国は畑にまいた小さなからしの種みたいです。 やがて、大きな木に生長し、鳥が枝に巣をかけるほどになるのです。
20-21. また神の国は、パン生地の中のイースト菌のようだとも言えます。 目には見えないけれども、少しずつ確実に作用して、パン全体を大きくふくらませるのです。」
22. イエスは町々村々を通り、人々に教えながら、ひたすらエルサレムへと進んで行かれました。
23. ある人がイエスに、「救われる人は少ないのでしょうか」と尋ねました。 イエスはお答えになりました。
24. 「天国への戸は狭いのです。 できるかぎりの努力をして、そこから入りなさい。 よく言っておきますが、入ろうとしても、入れない人が大ぜいいるのです。
25. 家の主人が戸を閉めてからでは遅すぎます。 外に立ち、どんどんたたきながら、『ご主人様ーっ! 開けてくださーい、お願いでございまーす』と、なりふりかまわず頼んでも、中からは『おまえたちなんか、全然知らないね』と、冷たい返事が返ってくるだけです。
26. それでもあきらめず、『何かのおまちがいでは? 私どもは、あなた様と食事をごいっしょしたこともありますし、大通りで、あなた様から教えていただきました』と食い下がります。
27. けれども主人は、けんもほろろに答えるのです。 『おまえたちなど知らないと言うのが、聞こえんのかっ! おまえたちのような悪党は、ここには入れないのだ。 とっとと行ってしまえっ!』
28. アブラハム、イサク、ヤコブ、それに預言者たちもみな神の国に入っているのに、あなたがたはいつまでも外に立ち尽くして、泣きわめき、歯ぎしりするのです。
29. 一方人々は、あちらからもこちらからも来て、神の国に迎え入れられ、席に着きます。
30. いいですか。このことは肝に銘じておきなさい。 今は軽んじられている者が、その時には大いにほめたたえられ、今は重んじられている者が、その時には最も軽んじられるのです。」
31. ちょうどその時、パリサイ人が数人、つかつかと歩み寄り、イエスに忠告しました。 「いのちが惜しかったら、ここから出て行きなさい。 ヘロデ王があなたをねらっています。」