31. ちょうどそこへ、ユダヤの祭司が通りかかりました。 ふと見ると、旅人が倒れています。 でも、めんどうに巻き込まれたくなかったので、そそくさと道の反対側へ回り、何くわぬ顔で通り過ぎてしまいました。
32. しばらくすると、今度はレビ人〔神殿で奉仕する人〕が通りかかりましたが、彼も、倒れている旅人を横目でちらっとながめただけで、行ってしまいました。
33. ところが、常日頃ユダヤ人に軽べつされていたサマリヤ人が、たまたま通りかかり、旅人を見つけました。 気の毒な有様に、心から同情したサマリヤ人は、
34. 急いでそばにひざまずき、傷口に薬をぬり、包帯を巻いて応急手当をしました。 それから、自分のろばに乗せ、宿屋まで運んで、一晩中、看病してあげました。
35. 翌日、宿屋の主人に六千六百円渡し、『あの人を介抱してあげてください。 足りない分は、帰りに寄ってお払いしますから』とくれぐれも頼みました。
36. この三人のうちだれが、強盗に襲われた人の隣人になったと思いますか。」
37. 「もちろん、親切にしてやった人です。」この答えを聞くと、イエスは言われました。 「そのとおりです。 あなたも同じようにしなさい。」
38. エルサレムへの旅の途中で、イエスはある村に立ち寄られました。その村のマルタという名の婦人が、喜んで一行を家に迎えました。
39. マルタにはマリヤという妹がおりました。 マリヤは座り込んで、イエスの話にじっと聞き入っていました。
40. 一方マルタはというと、てんてこ舞の忙しさです。 「どんなごちそうで、おもてなししようかしら。 あれがいいかしら、それとも……。」気を使うことばかりです。 とうとうイエスのところへ来て、文句を言いました。 「先生。 私が、目が回るほど忙しい思いをしているのに、まあ、どうでしょう。 妹ったら、何もしないで座ってるだけなんですから。 不公平じゃございません? 少しは手伝いをするように、おっしゃってくださいな。」