10. すべての生き物のいのちと、すべての人間の息とは、共に神様の御手のうちにあるからだ。
11. 舌が、うまいかまずいかを区別するように、思考力は、耳に入ることばが本当かうそかを聞き分ける。
12. お説のとおり、わしのような老人には知恵と分別がある。
13. だが、本物の知恵と力は神様だけのものだ。ただ神様だけが、わしらのなすべきことをご存じだ。 何といっても、神様には思慮がある。
14. おまけに、神様の力ときたらどうだ。 神様がこわしたものは、二度と建て直せない。 神様に追い詰められたら、観念するしかない。
15. 神様が雨を引き止めると、地は砂漠となり、嵐を送ると、水浸しになる。
16. このように、力と知恵は神様のものだ。 欺く者も欺かれる者も、共に神様の奴隷であることに変わりはない。
17. 神様は助言者と裁判官をなぶりものにする。
18. 王を奴隷の身分に落とし、その召使たちを自由の身にする。
19. 祭司は奴隷のように売られていく。 神様は権力者を落ちぶれさせる。
20. 雄弁家からは声を、長老からは見識を奪い取る。
21. 君主をさげすみ、勇士を腰抜けにする。
22. やみを光の洪水とし、死の暗い陰さえ明るくする。
23. 国を興したかと思うと、滅ぼし、大国にしたかと思うと、没落させる。
24-25. 王の分別を取り去り、道案内の明かりもないまま、手探りでやみの中をさまよわせる。