11. ユダヤ人の指導者たちは、祭りの間にイエスを見つけ出してやろうと思い、「だれかイエスを見かけた者はいないか」と、やっきになって尋ね回りました。
12. 確かに、イエスのことはいろいろ話題になりました。 「あの方はすばらしい方だ」とほめる者もいれば、「いや、違う。 とんだ食わせ物だ」と非難する者もいます。
13. しかし、だれも指導者たちの仕返しを恐れ、表立ってうわさするほど大胆な人はいませんでした。
14. 祭りも半ばになったころ、イエスは宮へ行き、おおっぴらに教え始められました。
15. それを聞いたユダヤ人の指導者たちは驚いて、「こいつは、一度も学校で学んだことがないくせに、どうして、こんなに深い知識を持ってるんだろう!」と言い合いました。
16. 「わたしの教えは、自分で考え出したことではありません。 わたしをお遣わしになった神の教えなのです。
17. ほんとうに神の望まれるとおりのことをしようと思う人なら、わたしの教えが神から出たものか、あるいはわたしから出たものか、はっきりわかるはずです。
18. 自分の意見だけをまくし立てる人は、実は、わが身がほめられたい一心なのです。 しかし、自分をお遣わしになった方の栄誉を求める人は、正直者です。
19. 自分ではモーセのおきてを守らないのに、どうして、おきてを破ったと、わたしを非難するのですか。 どうして命までつけねらうのですか。」
20. 群衆が答えました。 「おい、気でも変になったんじゃないか。 だれがあんたを殺そうってんだい?」
21-23. 「わたしが安息日に病気の人を治したら、労働をしたと驚いています。 だが、あなたがたはどうでしょうか。 モーセのおきてどおりに割礼(男子が生まれて八日目にその生殖器の包皮を切り取る儀式)を施すためには〔実際は、割礼の習慣はモーセのおきてより古くからあったのですが〕、安息日でも、平気で労働するではありませんか。 割礼の日がちょうど安息日にあたっても、別だん気にもかけず、あたりまえのように割礼を施しています。 それなら、安息日に病人を元気にしてやって、どこが悪いでしょうか? 何を根拠にわたしを非難するのですか。
24. よく考えてみなさい。 わたしの言うことはまちがっているでしょうか?」
25. エルサレムの人々の間では、互いにこんなことが言い交わされていました。 「この人は、連中が殺そうとねらってる人じゃないか。
26. ところがさ、今ここで、おおっぴらに話をしてるってのに、だれも何も言わないんだからな。 指導者たちも、結局は、正真正銘のキリスト様だと認めちゃったのかね。
27. だけどさ、この人がキリスト様のわけはないよ。 どこの生まれか、身元が知れてるんだから。 キリスト様は、どこからともなく、突然、現われなさるはずだからね。」
28. イエスは宮で、大声をあげて教えられました。 「皆さん。 確かに、わたしの生まれも、育ちもはっきりしています。 しかしわたしは、あなたがたの全く知らない方の代理なのです。 その方は真実です。
29. わたしはその方を知っています。 その方といっしょにいたのですから。 その方がわたしをお遣わしになったのです。」