1-2. とっぷり日も暮れたある夜のこと、パリサイ人で、ニコデモという名のユダヤ人の指導者が、イエスに会いに来ました。 「先生。 だれもみな、あなた様が神様から遣わされた教師であることを存じ上げております。 あなた様のなさる奇蹟を見ればもう、わかりきったことでございます。」
3. 「そうですか。 でもよく言っておきますが、あなたはもう一度生まれ直さなければ、絶対に神の国へは入れません。」
4. ニコデモは、思わず大声で叫びました。 「ええっ、もう一度生まれるのですか! いったい、どういうことですか。 年をとった人間が母親の胎内に戻って、もう一度生まれるんですか。 そんなこと、できっこありませんよ。」
5. 「よく言っておきますが、だれでも水と御霊によって生まれなければ、神の国へは入れません。
6. 人間からは人間のいのちが生まれるだけです。 けれども聖霊は、天からの、全く新しいいのちを下さるのです。
7. もう一度生まれなければならない、と言われたからといって、驚くことはありません。
8. 風は、音が聞こえるだけで、どこから吹いて来るかも、どこへ行くのかもわかりません。 御霊だって同じことです。 次はだれに、この天からのいのちが与えられるか、まるでわからないのです。」
9. 「それはいったい、どういうことで?」
10. 「あなたはみんなに尊敬されているユダヤ人の教師ではありませんか。 このようなこともわからないのですか……。
11. わたしは知っていること、見たことだけを話しているのです。 それなのに、あなたがたは信じてくれません。
12. 人間の世界で現に起こっていることなのですよ。 それも信じられないくらいなら、天で起こることなど、話したところで、とても信じられないでしょう。
13. メシヤ(救い主)のわたしだけが、この地上に下って来て、また天に帰るのです。
14. モーセが荒野で、青銅で作った蛇を、さおの先に掲げたように、わたしも木の上に上げられなければなりません。
15. わたしを信じる人はだれでも、永遠のいのちを持つためです。」
16. 実に神は、ひとり子をさえ惜しまず与えるほどに、世を愛してくださいました。 それは、神の御子を信じる者が、だれ一人滅びず、永遠のいのちを得るためです。
17. 神がご自分の御子を世にお遣わしになったのは、世に有罪判決を下すためではありません。 救うためです。
18. この神の子に救っていただけると信じ、何もかもお任せする者は、永遠の滅びを免れます。 しかし、お任せしない者は、神のひとり子を信じなかったのですから、すでにさばかれ、有罪判決を下されたのです。
19. そのような判決が下ったわけは、こうです。 天からの光が世に来ているのに、彼らは、自分の行ないが悪かったため、光よりも暗やみを愛したのです。