4. そこで、イエスは言われました。 「預言者はどこででも尊敬されます。 ただ、自分の故郷、親族、家族の中では別です。」
5. こうして、人々の不信仰のために、ほんのわずかの病人に手を置いて治されただけで、そこでは何一つ大きな奇蹟を行なえませんでした。
6. イエスは、自分を信じようともしないナザレの人たちの態度に、驚かれました。このことがあってから、イエスは付近の村々を巡り歩いて、お教えになりました。
7. また、十二人の弟子を呼び、悪霊を追い出す力を与えると、二人ずつ組にして送り出されました。
35-36. 午後も遅くなって、弟子たちがイエスのところに来ました。 「先生。 この人たちに、近くの村や農場へ行って、めいめいで食べ物を買うように言っていただけませんか。 こんな寂しい所では、何もありません。 それに時刻も遅いことですし……。」
37. しかし、イエスは言われました。 「あなたがたが、この人たちに食べ物をあげるのです。」「何ですって! いったい何を食べさせたらいいんですか。 この大ぜいの人たちに。 そんなことをしたら、破産してしまいますよ。」
38. 「手持ちの食べ物がどのくらいあるか、見て来なさい。」こう言われて、弟子たちは調べに行きました。 その結果は、パンが五つと魚が二匹あるだけでした。
39-40. イエスは、群衆に座るようにお命じになりました。 まもなく、五十人から百人ほどの色とりどりのグループが、それぞれ一団となって緑の草の上に座りました。
41. イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、感謝の祈りをささげると、パンをちぎって、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。 魚も同様になさいました。
42. 群衆は、もうこれ以上は食べられないというほど、たらふく食べました。
43-44. その場で食事をしたのは、男だけでも五千人はいました。 あとで草の上のパンくずを拾い集めると、なんと十二のかごにいっぱいでした。
45. それからすぐ、イエスは弟子たちに、舟に戻り、先にベツサイダまで行くようにお命じになりました。 あとで弟子たちと落ち合うつもりで、イエスだけその場に残り、群衆を解散させられたのです。
46. そのあと、イエスは山へ登られました。 祈るためです。
47. 夜になり、舟に乗った弟子たちは湖の真ん中までこぎ出していましたが、イエスはただ一人、陸地におられました。
48. ふと、ごらんになると、弟子たちは向かい風と波のためにこぎあぐね、危険にさらされています。 夜明けの三時ごろ、イエスは水の上を歩いて彼らに近づき、そのままそばを通り過ぎようとされました。
49. ところが、弟子たちは湖上を歩くイエスを幽霊と見まちがい、恐怖のあまり大声をあげました。
50. 皆が、おびえてしまったからです。 イエスはすぐに、「安心しなさい。 ほら、わたしです。 こわがることはありません」と声をおかけになりました。
51. イエスが舟に乗り込まれると、風はぴたりとやみました。 弟子たちは訳がわからず、ただぼんやりと座っているだけでした。
52. 前日の夕方、あれほどの奇蹟を目のあたりにしながら、弟子たちには、イエスがどんな方か、まだわかっていなかったのです。 彼らは、初めから信じようとしていなかったからです。
53. 一行は、湖の向こう岸のゲネサレに着き、舟をつなぎました。