3-4. この男は墓場に寝起きしていましたが、すごい強力で、手かせ足かせをはめられても、たちまち引きちぎって逃げてしまうのでした。そんなわけで、だれもこの男を取り押さえることができません。
16. 初めからこの出来事を目撃していた人たちが、みんなに一部始終を説明しました。
17. それを聞くと、人々はイエスに、かかわりあいになりたくないから、どこかへ行ってくれ、と願い始めたのです。
18. イエスはまた舟に乗り込みました。 悪霊に取りつかれていた男が、「ぜひお伴を」と願いましたが、
19. お許しにならず、「家族や、友人のところへお帰りなさい。 神がどんなにすばらしいことをしてくださったか、また、どんなにあわれんでくださったかを話してあげなさい」と言われました。
20. 男はさっそく、デカポリス(十の町)地方を回り、イエスがどんなにすばらしいことをしてくださったかを知らせました。 その話を聞いた人々はみんな驚きました。イエス、少女を生き返らす!
21. イエスがもう一度、舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆が詰めかけました。
22. そこへ、その地方の会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの前にひれ伏しました。
23. 娘を助けてほしいというのです。「先生。 娘が危篤なんです。 まだ、ほんの子供なのに……。 どうぞ、娘の上に手を置き、治してやってください。」
24. 必死の願いに、イエスはヤイロといっしょに出かけました。 群衆は押し合いへし合い、イエスについて行きました。
25. さてその中に、出血の止まらない病気で十二年間も苦しみ続けてきた女がいました。
26. 大ぜいの医者にかかり、さんざん苦しい目に会い、治療代で財産をすっかり使い果たしてしまいましたが、病気はよくなるどころか、悪化する一方でした。
27. イエスがこれまでに行なったすばらしい奇蹟の数々を耳にした彼女は、人ごみにまぎれて近づき、背後からイエスの着物にさわりました。
28. 「せめてこの方の着物にでも手を触れさせていただけば、きっと治る」と考えたからです。
29. さわったとたん、出血が止まり、彼女は病気が治ったと感じました。
30. イエスはすぐ、自分から病気を治す力が出て行ったのに気づき、群衆のほうをふり向かれて、「今、わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。
31. 「こんなに大ぜいの人がひしめき合っているのですよ。 それなのに、だれがさわったのかと聞かれるのですか。」弟子たちはけげんな顔で答えました。