1. イエスが宮から出ようとしておられた時、弟子の一人が言いました。 「先生。 まあ、なんと美しい建物でしょう。 なんと見事な石でしょう。」
2. すると、イエスはお答えになりました。 「なるほどすばらしいものです。 だが、この建物も、たった一つの石さえほかの石の上に残らないほど、あとかたもなくくずれ落ちてしまうのです。」
5. そこで、イエスはゆっくり話し始められました。 「だれにもだまされてはいけません。
6. 自分こそキリストだと名乗る者が大ぜい現われて、多くの人を惑わすからです。
7. また、あちこちで戦争が始まるでしょう。 けれども、まだ終わりが来たわけではありません。
8. 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、至る所で地震やききんが起こります。 しかしこれらはみな、やがて襲って来る苦しみの、ほんの始まりにすぎないのです。
9. しかし、これらのことが起こり始めたら、よく警戒しなさい。 非常な危険が迫っているからです。 あなたがたは法廷に引き出され、会堂でむち打ちの刑を受け、またわたしに従う者だというだけで、総督や王たちの前で訴えられるでしょう。 しかしその時こそ、神のすばらしい知らせを語るチャンスです。
10. 終わりの時が来る前に、この知らせは世界中の人々に伝えられなければなりません。
11. 逮捕されても、取り調べの時、どう釈明しようかと心配することはいりません。 ただ、その時、神があなたがたに語ってくださることだけを話せばいいのです。 話をするのはあなたがたではなく、聖霊なのです。
12. 兄弟同士が裏切り合い殺し合うかと思えば、親までが子を裏切り、子もまた親に反逆し、殺します。
13. そしてあなたがたは、わたしの弟子であるというだけで、すべての人に憎まれます。 しかし終わりまで、わたしへの信仰を捨てずに耐え忍ぶ者は、みな救われます。
14. 恐るべきものが神殿に立つのを見たら〔読者よ、よく考えなさい〕、ユダヤにいる人たちは、山へ逃げなさい。
15-16. 急ぐのです。もしその時、屋上にいたら、家の中に戻ってはいけません。 畑で野良仕事をしていたら、お金や着物を取りに帰ってはいけません。
17. このような日に妊娠している女と乳飲み子をかかえている母親は、ほんとうに不幸です。
18. あなたがたの逃げるのが、冬にならないように祈りなさい。
19. それは、神が天地を創造された初めから今に至るまで、いまだかつてなかったような恐るべき日だからです。
20. 主が、このわざわいの期間を短くしてくださらないかぎり、地上には、一人も生き残れないでしょう。 だが、神に選ばれた人たちのために、その期間は短くされるのです。