マルコによる福音書 12:17-36 リビングバイブル (JLB)

17.  「その通りです。 皇帝のものなら、皇帝に返しなさい。 しかし、神のものはすべて、神に返さなければなりません。」こう言われて、彼らは頭をかかえ込んでしまいました。

18.  次に、復活などありえないと主張していたサドカイ人たち(神殿を牛耳っていた祭司階級。ユダヤ教の主流派)がやって来ました。

19.  「先生。 モーセの法律によると、ある男が結婚して子供がないまま死んだ場合、弟が兄の未亡人と結婚して、生まれた子供に兄のあとを継がせることになっています。 

20-22. ところで、ここに七人兄弟がいたとしましょう。 長男は結婚しましたが、子供がないまま死に、残された未亡人は次男の妻になりました。 ところが次男も子供ができずに死んだので、その妻は三男のものになりました。 三男も四男も同じことで、ついにこの女は、七人兄弟全部の妻になりましたが、結局、子供はできずじまいでした。 最後にこの未亡人も死にました。

23.  そこでお尋ねしたいのですが……、復活の時、この女はいったいだれの妻になるのでしょう。 七人とも彼女を妻にしたのですが。」

24.  イエスはお答えになりました。 「聖書も神の力もわかっていないようですね。 全く思い違いをしています。 

25. 復活の時には、結婚などはないのです。 みんなが天の使いのようになるのですから。

26.  ところで、復活のあるなしについては、聖書の、モーセと燃える柴の個所を読んだことがないのですか。 神はモーセに、『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われました。

27.  実際には、これらの人たちは数百年も前に死んでいたのに、神はモーセに、彼らはなお生きていると教えられたのです。 そうでなければ、すでに存在していない人の『神である』などと、おっしゃるはずがありません。 あなたがたは、この点で決定的なまちがいを犯しています。」

28.  イエスのそばで、この見事な返答ぶりを聞いていた一人のユダヤ教の教師が、「先生。 すべての戒めの中で、どれが一番重要な戒めでしょうか」と尋ねました。

29.  「『イスラエルよ、聞け! 主なる神こそ、ただ一人の神です。 

30. 心を尽くし、たましいを尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの主を愛しなさい。』これが最も重要な戒めです。

31.  第二は、『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』という戒めです。 これ以上に重要な戒めはありません。」

32.  「先生。 あなた様は今、神様はお一人で、ほかに神はいないとおっしゃいましたが、まさにそのとおりです。 

33. そして、神殿の祭壇にどんな供え物をささげるよりも、『心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして主を愛し、また隣人を自分と同じように愛する』ことのほうが、ずっと大切です。」

34.  この賢明な答えに感心したイエスは、「あなたは神の国から遠くない」と言われました。 そのあとはもう、だれも、あえてイエスに質問しようとはしませんでした。

35.  その後、神殿の境内で教えておられた時、イエスはこうお尋ねになりました。 「ユダヤ教の教師たちは、どうしてキリストがダビデ王の子だと言いはるのですか。 

36. ダビデ自身が、といっても、ほんとうは聖霊がダビデを通して語られたのですが、こう言っているではありませんか。『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座っていなさい。」』

マルコによる福音書 12