2. 州知事の上に三人の大臣をおき、ダニエルはその一人でした。 この三人に報告するように義務づけることで、王は効果的に王国を治めることができました。
3. ダニエルは、そのすぐれた能力のゆえに、他の大臣や、州知事よりはるかに有能であることが、だれの目にも明らかになりました。 そこで王は、彼を行政長官とし、全帝国を治めさせようとしました。
4. そのため、他の大臣や州知事は激しく嫉妬し、ダニエルの行政に何か落度はないかとあら捜しをし、王に訴える口実を見つけようとしました。 しかし、何一つ批判すべき点を見つけることができません。 ダニエルは誠実で、正直に振る舞い、まちがいを犯すことがありませんでした。
5. そこで、「残された道はただ一つ。 ダニエルの宗教を突くことだ」ということになったのです。
6. 彼らは、申し合わせて王のもとへ行き、次のように進言しました。 「ダリヨス王よ。 いつまでもご健勝であられますように。
7. 私ども大臣、州知事、参議官ならびに総督は、どんな事情があっても取り消すことのできない法令を陛下に制定していただくよう、全会一致で決議いたしました。 その法令とは、向こう三十日間、陛下以外の者に、どんな神にも人にも祈りをささげる者があれば、ライオンの餌食にされる、という内容のものでございます。
8. この法令に署名をお願いいたします。 そうすることで、これは無効にすることも、変更することもできないものになります。 まさに、取り消しのできない『メディヤとペルシヤの法律』となるのでございます。」
9. そこで王は、この法律に署名したのです。
19-20. 翌朝はやく、まだ夜の明けないうちに、王はライオンの穴に駆けつけ、悲痛な声でダニエルを呼びました。 「ダニエル! 生ける神のしもべよ! おまえがいつも礼拝している神様は、ライオンから救ってくださったのか。」
21. すると、ダニエルの声がするではありませんか。 「陛下。 永遠に生き長らえられますように。」 まぎれもなくダニエルの声です。
22. 「私の神様は御使いを送り、ライオンの口をふさいでくださったので、ライオンは何もできませんでした。 それは、神様の前で、私に罪のないことが認められたからでございます。 また、陛下に対しても、何も悪いことをしていないからでございます。」
23. 王は我を忘れて喜び、ダニエルを穴から出すよう命じました。ダニエルは神様に信頼していたので、体にはかすり傷一つ負いませんでした。
24. 王はダニエルを訴えた連中を妻子ともども捕らえ、ライオンの穴に投げ込みました。 すると、彼らが穴の底に落ちないうちに、ライオンが飛びかかり、かみ殺してしまいました。
25-26. そののち、ダリヨス王は、帝国内の全国民に、次のような声明文を書き送りました。「諸国民に告ぐ。 余が治めるこの国のどこでも、ダニエルの神様の前に、震えおののくようにせよ。 彼の神様こそ、変わることのない生ける神であり、その国は滅びることがなく、その力は尽きることがない。
27. この神様はご自分の国民を救い出し、危険からお守りになる。 天においても、地においても、驚くべき奇蹟を行なわれる。 ライオンからダニエルを救い出してくださったのは、実に、この神様だ。」
28. こうしてダニエルは、ダリヨス王の治世とペルシヤ人クロス王の治世とに、大いに栄えました。