2-4. 王は、ぶどう酒を飲みながら、ずっと以前、ネブカデネザル王の治世に、エルサレムの神殿からバビロンに持って来た、金と銀の杯のことを思い出しました。さっそく、この聖なる杯を宴席に持って来るよう命じました。 杯が運ばれて来ると、王と王子たち、妻とそばめたちは、金、銀、青銅、鉄、木、石で作られた偶像のために、その杯で乾杯したのです。
10. このことを聞いた王母は、すぐ宴会場に駆けつけ、王に言いました。 「王よ、落ち着きなさい。 そんなお顔をなさったり、おびえたりするのはおやめなさい。
11. あなたの王国には、聖なる神の霊が宿っている人がいるではありませんか。 父上の時代に、その人は、まるで神様のように、知恵と理解力に満ちていました。 父上の治世に、その人は、バビロン全土の呪文師、占星学者、カルデヤびと、占い師たちの長とされたのです。
12. その人は、ダニエルと申します。 父上は彼をベルテシャツァルと呼んでおりました。 その人を召してください。 彼の頭脳は神様の知恵と理解力に満ちています。 それで、夢を解き明かし、なぞを解き、どんな難問も解決できるのです。 あの壁に書かれた文字も、きっと読みこなしてくれましょう。」
13. ダニエルは、すぐさま王のもとに召されました。 王はダニエルに語りかけました。 「ネブカデネザル王がイスラエルから捕虜として連れて来たユダヤ人ダニエルと申すのは、おまえか。
14. おまえのうちには神の霊が宿り、知恵と理解力にすぐれていると聞いている。
15. 余の知者や占星学者どもは、あの壁に書かれた文字を読み、その意味を解き明かそうとしたが、できなかった。
16. おまえは、どんな難問も解くことができるそうだな。 この文字を解き明かしてくれるなら、紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、この国で第三の支配者としてやるが、どうだ。」
17. 「ありがたい仰せではございますが、その褒美は、ご自分のために取っておかれるか、だれかほかの者におやりください。 とにかく、壁の文字の意味はお教えします。
18. 陛下。 いと高き神様は、先王ネブカデネザルに、偉大な王国と、それにふさわしい威厳と光栄とをお与えになりました。
19. その威厳はたいへんなもので、世界の国々はみな恐れのあまり、王の前に震えおののいたものです。 気に入らない者は殺し、気に入る者は生かす、というように、気の向くままに人を用いたり、捨てたりなさいました。
20. こうして、王の心がおごり高ぶった時、神様は王をその位から退け、栄光を奪っておしまいになったのです。
21. 王は、宮殿から野に追われ、心も感情も動物と同じようになり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べ、体は天の露にぬれるしまつでした。 このことを経験して、王も、いと高き神様が人間の国々を支配し、みこころにかなう者に国々を支配する権威をお与えになることを、ついに悟ったのです。
22. その後継者である王よ。 陛下は、そのことをみな知っていながら、へりくだることをなさいませんでした。
23. それどころか、天の神様を侮り、神の神殿の杯をこんな所に持って来させました。 陛下も、高官たちも、王妃やそばめたちも、その杯でぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石で作った、見ることも、聞くことも、知ることもできない神々をほめたたえました。 こうして、陛下にいのちの息を与え、陛下の人生を手中に握っておられる神様を、ほめたたえなかったのです。
24-25. それで神様は、手の指を送り、この文字を書かせたのです。 それは『メネ、メネ、テケル、ウ・パルシン』と読みます。
26. 意味はこうです。『メネ』は数えられた、という意味で、神様が陛下の治世の日数をかぞえて、それがもう終わったということです。
27. 『テケル』ははかりで量られた、という意味で、陛下が神様のはかりで量られ、その審査に落ちたということです。