29. それから、定められた時に、すでに脅しをかけていたように、再び南へ軍隊を進めるが、今度は以前のようにはいかない。
30-31. というのも、ローマの軍艦におびえて退却し、国へ逃げ帰る破目になるからだ。 退却を余儀なくされた王は腹を立て、再びエルサレムを襲って聖所を汚し、毎日のささげ物をやめさせ、神殿の中で偶像を礼拝させるようにする。 エルサレムを去る時、王は、父祖の信仰を捨ててしまった不信仰なユダヤ人を、権力の座につかせる。
32. 王は、神様を憎む連中を巧言をもってあやつり、自分の側につかせようとする。 だが、神様を知る人々は勢力を増し、大きなことを行なうようになる。
33. その時には、霊的理解力を備えた人々は、多くの人を教える幅広い働きをする。 だが、いつも危険にさらされ、そのうちの多くの者は火や剣で殺され、あるいは、獄につながれ、略奪される。
34. やがて、こうした迫害も収まろう。 だが、不信仰な者たちの中から、援助の手を差し伸べるように見せかけ、実は自分たちに有利に事を運ぼうとする連中が現われる。
35. その時には、神様のことに精通している人々の中からも、つまずき倒れる者が出る。 これは、神様の定めた試練が終わる時まで、彼らを精錬し、純化するのに役立つ。
36. この王は、何でも自分の好きなように振る舞い、どんな神よりも自分は偉いのだと主張して、まことの神様さえも冒涜し、なお栄えている。 それも彼の時が終わるまでだ。 神様の計画は揺らぐことがないからだ。
37. 彼は、先祖の神々も、女たちの慕う神も、その他どんな神も心にかけない。 どの神々よりも自分は偉いと思い上がっている。
38. その代わりに、先祖たちの知らなかった、とりでの神を礼拝し、高価なささげ物を惜しげもなくささげる。
39. この神の助けによって、彼は最強を誇るとりでの攻略に成功する。 また、自分によく従う者たちを重く用い、彼らに権力を与え、報奨として領土を与える。
40. それから、終わりの時がくると、南の王は北の王に再び攻めかかる。 北の王はつむじ風のような力と狂暴さをもって反撃し、その巨大な陸軍と海軍の総力をあげて、南の王を葬り去ろうと攻め寄せる。
41. 進撃の途上、美しい国イスラエルを含む多くの国々を侵略し、その政府を打ち倒す。 モアブとエドム、およびアモンの大部分は侵略を免れる。
42. だが、エジプトと他の多くの国々は占領される。
43. 彼はエジプトの宝物を戦利品とし、リビヤ人やエチオピヤ人を従わせる。
44. ところが、東と北からの知らせが王を脅かし、激しい怒りに燃えて引き返す時、その行く先々を荒らし回る。
45. 彼はエルサレムと海との間に立ち止まり、そこに本営を置く。 ところが、そこに滞在する間に、突然、彼の時が終わり、助ける者は一人もいなくなる。