1. 「さて」と、アヒトフェルはことばを続けました。 「私に一万二千の兵を任せてくだされ。 今夜にも、王の追跡に出かけましょう。
4. アブシャロムとイスラエルの全長老は、その計画に賛成しました。
5. ところが、アブシャロムは、「アルキ人フシャイの意見も聞いてみよう」と言いだしたのです。
6. フシャイが姿を見せると、一応アヒトフェルの考えを披露したあとで、こう尋ねました。「おまえの意見はどうか。 アヒトフェルの言うとおりにすべきだろうか。 もし反対なら、はっきり言ってくれ。」
7. 「恐れながら申し上げます。 この度のアヒトフェル殿のお考えには、賛成いたしかねますな。
8. ご承知のように、お父君とその部下たちは、りっぱな勇士でございます。 今は、子熊を奪われた母熊のように、気が立っておいででしょう。 そればかりか、戦いに慣れておられるお父君は、兵卒とともに夜を過ごしたりはなさいますまい。
9. 必ず、どこかのほら穴にでも、隠れておいでのはずです。 もしそのお父君が襲いかかり、こちらの幾人かが切り倒されでもしたら、兵が混乱し、口々に『味方がやられたぞ』と叫びだすでしょう。
10. そうなると、どんなに勇敢な者でも、たといライオンのように強い勇士でも、ひるむでしょうな。 なにしろ、イスラエルの者はみな、お父君が偉大な勇者であり、その兵士たちも武勇にすぐれている、と知っておりますからな。