2. 彼は、毎朝はやく起き、町の門へ出かけました。 王のところへ訴えを持ち込む者を見つけると、そのつど呼び止めて、さも関心があるように、訴えを聞くのです。
3. だれに対しても、こんなふうに気をそそるのでした。 「この件じゃあ、君のほうが正しいようだねえ。 しかし、気の毒だが、王の側には、こういう訴えに耳を貸してくれる者はいないだろうな。
4. 私が裁判官だったらなあ。 訴えのある人はみな、私のところへ来れるし、もちろん、公平な裁判もできるんだが……。」
5. アブシャロムはまた、だれか頭を下げてあいさつする者がいると、決してそのままやり過ごさず、素早く手を差し伸べて握りしめるのでした。
6. こうして、アブシャロムは巧みにイスラエル中の人心をとらえていったのです。
9. 王は、「よかろう。 誓願を果たしに行くがよい」と許可しました。アブシャロムはヘブロンへ発ちました。
17-18. ダビデは町はずれでひと息つき、その間に、あとから従って、ガテからついて来た六百人のガテ人と、ケレテ人、ペレテ人の一群を、先導役として前に進ませるようにしました。
19-20. ところが、だしぬけに、王はガテ人六百人の隊長イタイに、こう言いだしたのです。 「どうして、わしらと行動を共にするのだ。部下を連れてエルサレムのあの王のもとにいるほうがよいぞ。 なにしろ、君らは亡命中の外国人で、イスラエルには寄留しているだけなのだからな。 しかも、きのう来たばかりだというじゃないか。 なのに、きょう、行く先さだめぬ放浪の旅に誘い出すには忍びん。 部下を連れて戻るがよい。 神様の恵みがあるよう祈っておるぞ。」
21. 「神様に誓って申し上げます。 また、陛下のおいのちにかけても誓います。 陛下が行かれる所どこであろうと、どんなことが起ころうと、いのちがけで、ついてまいります。」
22. 「わかった。 そうまで言うなら、ついて来てくれ」それでイタイは、六百人とその家族を引き連れて行軍しました。
23. 王と従者たちがキデロン川を渡り、荒野へ落ちのびて行く時、町中が深い悲しみに包まれました。
24. レビ人とともに神の契約の箱をかついでいた、エブヤタルとツァドクは、全員が通り過ぎるまで、箱を道ばたに下ろしました。
25-26. それから、ダビデの指示に従って、ツァドクは契約の箱を都に戻しました。 その時、ダビデはこう宣言したのです。 「もし神様がよしとされるなら、私をもう一度連れ戻し、神の箱とその天幕を見させてくださるでしょう。 また、たとい神様から見放されるのであっても、どうか、神様が最善と思われることをしてくださいますように。」
27. さらに、ツァドクにこう言いました。 「よいか、わしに考えがある。 おまえの息子アヒマアツとエブヤタルの息子ヨナタンを伴って、急いで都に引き返せ。
28. わしはヨルダン川の浅瀬で、知らせを待っている。 荒野に身を隠す前に、エルサレムの様子を知りたいのだ。」
29. ツァドクとエブヤタルは、神の箱をエルサレムに持ち帰り、そこにとどまりました。
30. ダビデはオリーブ山への道を登りました。 頭をおおい、はだしで、泣きながら、悲しみを表わしたのです。 ダビデに従う人々も、頭をおおい、泣き声をあげて山を登りました。
31. かつて自分の顧問であったアヒトフェルが、事もあろうにアブシャロムに肩入れしている、という情報を得た時、ダビデは、「神様。 どうか、アヒトフェルがアブシャロムに愚かな助言をするよう、導いてください!」と祈りました。
32. 人々が神様を礼拝した、オリーブ山の頂上まで登りつめた時、ダビデはアルキ人フシャイに出会いました。 彼は服を裂き、頭に土をかぶって、ダビデの到着を心待ちにしていたのです。