サムエル記下 13:8-31 リビングバイブル (JLB)

8. タマルはアムノンの寝室を訪れました。 アムノンは、タマルが粉をこねてパンを作る姿を、じっと見つめていました。 タマルはアムノンのために、特においしいパンを焼き上げたのです。 

9. ところが、それをお盆に載せてアムノンの前に差し出しても、口に入れようとしません。アムノンは召使に、「みんな、下がってくれ」と命じたので、一同は部屋から出て行きました。

10.  すると、彼はタマルに言ったのです。 「もう一度、そのパンをこっちに運んで来て、食べさせてくれないか。」 タマルは言われるままに、そばへ行きました。 

11. ところが、目の前に立ったタマルに、アムノンは、「さあ、タマル。 おまえはぼくのものだ」と詰め寄ったのです。

12.  彼女はびっくりして叫びました。 「おやめになって、ね、こんなばかなこと。 お兄様! いけないわ。 イスラエルでは、それがどれほど重い罪か、ご存じでしょう。 

13. こんな辱しめを受けたら、私、どこにも顔出しできません。 お兄様だって、国中の笑い者になりますわ。 どうしてもというのなら、今すぐにでも、お父様に申し出てちょうだい。 きっと二人の結婚を許してくださるわ。」

14.  しかし、アムノンは耳を貸そうともせず、むりやり、タマルを自分のものにしてしまったのです。 

15. すると、突然、彼の愛は憎しみに変わりました。 それは、先にいだいた愛よりも激しいものでした。「さっさと出て行け!」 アムノンはどなりました。

16.  タマルも必死です。 「とんでもない! 今、私を追い出したりなさったら、たった今のお振る舞いより、もっと大きな罪を犯すことになるのよ。」しかしアムノンは、聞く耳を持たなかったのです。 

19. こうなった今、彼女は、その服を裂き、頭に灰をかぶり、手を頭に置いて、泣きながら帰って行きました。

20.  タマルの実の兄アブシャロムは、妹に問いただしました。 「アムノンがおまえを辱しめたって? それはほんとうか。 とにかく取り乱すな。 身内でのことだからな、何も心配することはないぞ!」タマルは兄アブシャロムの住まいで、ひっそり暮らしていました。

25.  王は答えました。 「いや、アブシャロム。 わしらがみな押しかけたら、おまえに負担がかかりすぎるぞ。」アブシャロムがどんなに勧めても、ダビデは、気持ちだけをありがたく受け取ると言って、断わりました。

26.  「父上においでいただけないのでしたら、名代として、アムノンをよこしてくださいませんか。」「なに、アムノンだと? またどうして、あれを。」

27.  いくら問いただしても、アブシャロムが熱心に頼むので、ついにダビデも承知し、アムノンも含めて、王子全員の顔がそろうことになりました。

28.  アブシャロムは従者たちに命じました。 「アムノンが酔うまで待つんだ。 私が合図したら、やつを殺せ! 恐れるな。 私の命令なんだ。 勇気を出して、やり遂げてくれ!」

31.  王はびっくりして立ち上がり、服を裂き、地にひれ伏すように、その場に倒れ込みました。 側近も、恐れと悲しみに包まれて服を裂きました。

サムエル記下 13