3. 「どこから来たのだ。」「イスラエルの陣営からまいりました。」
4. 「何かあったのか。 戦いの様子はどうなんだ。」 ダビデは急き込んで尋ねました。「イスラエル全軍は散り散りです。 何千という兵士が死に、また負傷して、野原に倒れています。 サウル王も、ヨナタン王子も殺されました。」
5. 「王とヨナタンが死んだって! どうしてわかったのだ。」
6. 「私はギルボア山におりましたが、槍にすがってようやく立っている王様めがけて、敵の戦車が突き進むのを見たのです。
7. 王様は私を見るなり、こっちへ来いと叫ばれました。 急いでおそばに駆け寄りますと、
8. 『おまえはだれか』とお尋ねになります。『アマレク人でございます』とお答えしましたところ、
9. 『さあ、わしを殺せ。 この苦しみから救ってくれ。 虫の息で生き長らえるなんて、まっぴらだ』とおっしゃるのです。
17-18. ダビデは、サウル王とヨナタンにささげる哀悼の歌を作り、のちに、これがイスラエル中で歌い継がれるように、と指示しました。『英雄詩』に載ったその詩を、次に紹介しましょう。
19. 「ああ、イスラエル。おまえの誇りと喜びは、しかばねとなって丘に横たわる。大いなる英雄たちは倒れた。
20. ペリシテ人には告げるな。 喜ばせてなるものか。ガテとアシュケロンの町にも極秘だ。神様を知らない連中を勝ち誇らせてなるものか。
21. ギルボアの山よ、露も降りるな。 雨も降るな。いけにえのささげられた野にも。偉大なサウル王が倒れた地だから。ああ、その盾は油も塗られず打ち捨てられた。
22. 最強の敵を打ち殺したサウル王とヨナタンは空手で戦場から引き揚げたりはしなかった。
23. ああ、サウルもヨナタンもどれほど愛され、どれほどすぐれた人物であったことか。生死を共にした彼ら。鷲よりも速く、ライオンよりも強かった。
24. さあ、イスラエルの女よ、サウル王のために泣け。王はおまえたちを惜しげもなく着飾らせ、金の飾りをまとわせてくれた。
25. その偉大な英雄が、戦いの最中に倒れたのだ。ヨナタンは山の上で殺された。
26. わが兄弟ヨナタン。おまえのために、どれほど涙を流したことか。おまえをどれほど愛していたことか!おまえの私への愛は、女の愛も及ばなかった!
27. ああ、勇士たちは倒れ、武器は奪い去られた。」