13. エリは道のそばに設けた席で、戦況報告を今か今かと待っていました。 というのも、神の箱のことが心配だったからです。 到着した前線からの使者が町中に一部始終を知らせると、人々はこぞって泣き叫びました。
14. 「この騒ぎは、いったい何じゃ」と、エリはいぶかりました。その時、例の使者がエリのもとへ駆けつけ、すべてを報告したのです。
15. エリは九十八歳で、目も見えなくなっていました。
16. 「たった今、戦場から戻りました。 きょう、戦場を発って来たのです。
17. わが軍はさんざん痛めつけられ、幾千もの兵を失いました。 ホフニ様とピネハス様もご討ち死に……。 それに、神の箱まで奪われてしまったのです。」
18. 神の箱のことを聞いたとたん、エリはその席から門のわきに仰向けに倒れ、首の骨を折って死んでしまいました。 年老いていた上に、太っていたからです。 エリは四十年間、イスラエルをさばいたことになります。
19. さて、エリの嫁にあたるピネハスの妻は、出産間近でしたが、神の箱が奪われ、夫としゅうとが死んだという知らせを聞いて、急に陣痛にみまわれました。
20. 瀕死の彼女に、世話役の女たちが、「気をお確かに。 お産は軽くて、男の子ですよ」と励ましました。 しかし、彼女には答える気力もありません。