8. お宅の若い衆にお聞きください。 それが本当かうそか、話してくれましょう。 さて私は今、わずかばかり無心したく、家来を遣わした次第です。 ちょうどおめでたい日でもあり、お手もとにある物を、少しばかり恵んではいただけますまいか。」
9. 若者たちはダビデのことばを伝え、ナバルの返事を待ちました。
10. ところが、ナバルからはこんな答えが返ってきました。 「ダビデだと? やつがどうした。 エッサイの息子だか何だか知らんが、いったい何様のつもりでいやがるんだ。 このごろは、主人のもとから逃げ出す奴隷がわんさといる。
11. どこの馬の骨だかわからんやつらに、わしのパンや水や、それに刈り取りの祝いのために殺したこの肉を、どうして、くれてやらにゃならんのだ。」
12. 使いの者は帰って、ナバルが言ったとおり報告しました。
13. するとダビデは、「みんな剣を取れ!」と命じ、自分も剣を身につけ始めました。 四百人がダビデとともに出立し、あとの二百人は持ち物を守るために残りました。
14. そうこうしている間のことです。 ナバルの下僕の一人が、アビガイルに一部始終を知らせたのです。 「ダビデ様がだんな様に、荒野から使者を立て、あいさつしてこられましたのに、だんな様ときたら、さんざんその方々を侮辱したり、なじったりなさったんです。
17. さあ早く、ここは、しかとお考えください。 このままでは、だんな様ばかりか、ご一家がひどい目に会うに決まっております。 だんな様はあのとおり頑固なお方ですから、だれもおいさめできないのです。」
18. アビガイルは大急ぎで、パン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭分、炒り麦六十リットル、干しぶどうの菓子百個、干しいちじくの菓子二百個を取りそろえて、ろばに積み込みました。
19. そして、若者たちに命じました。 「さあ先にお行き。 私はあとからついて行くから。」 もちろん、夫には何も告げませんでした。
20. こうして、ろばで山道を下って行ったところ、ばったり、こちらに向かって来るダビデに出くわしたのです。