4. 「何か、してあげられることがあるかい。 遠慮なく言ってくれ。」
5. 「あすから新月の祝いが始まるね。 これまではいつも、私はこの祝いの席にお父上と同席してきた。 しかし、あすは野原に隠れ、三日目の夕方まで潜んでいるつもりだ。
6. もしお父上が、私のことをお尋ねになったら、こう言ってくれないか。 『ベツレヘムの実家へ行きたいと願い出たので帰しました。 年一回、一族全員が集まるんだそうです。』
7. もしお父上が、『そうか』とうなずかれるなら、私は取り越し苦労をしていたことになる。 しかし、もしご立腹になるなら、私を殺すおつもりだろう。
8. 義兄弟の契りを結んだ者として、どうか、このことを引き受けてくれ。 もし私がお父上に罪を犯したのであれば、君の手で私を殺してかまわない。 しかし、私を裏切ってお父上の手に引き渡すようなまねだけは、しないでくれ。」
9. 「そんなことするわけがないよ! おやじが君をねらっているとわかったら、君に黙ってなんぞいるもんか。」
10. 「お父上が腹を立てておられるかどうか、どんな方法で知らせてくれますか。」
11. 「そうだな、いっしょに野原へ出てみよう。」 二人は連れ立って出かけました。
12. ヨナタンはダビデに言いました。 「イスラエルの神様にかけて約束するよ。 あすの今ごろ、遅くともあさっての今ごろには、君のことを話してみよう。 そうして、おやじの気持ちを、さっそく知らせる。
13. もしおやじが腹を立て、君の命をねらっているとわかったら、必ず知らせるよ。 もし知らせずに、君の逃亡を妨げるようなことがあれば、神様に殺されたってかまわない。 かつて神様がおやじとともにおられたように、君とともにおられるように。
14. お願いだ。私が生きている限り、神様の愛と親切を示してくれ。
15. いや、神様が君の敵を一掃されたあとも変わりなく、私の子供たちにまで、神様の愛と親切を示してくれたまえ。」
16. こうしてヨナタンは、ダビデの家と契約を結びました。 ダビデも、もしこの約束を破るなら、末代に至るまで恐ろしい罰を受けてもよいと証言して、誓いました。