10. ところが、だれもわたしの警告に耳を傾けない。 彼らの耳はふさがれていて、聞こうともしない。 わたしのことばは彼らのしゃくにさわり、好ましくないものとなった。
11. 彼らへの憤りがわたしのうちにあふれた。 それに耐えるのに疲れ果てた。 わたしは憤りを、エルサレムにぶちまける。 路上で遊んでいる子供にも、若い人の集まりにも、夫や妻や祖父母にも、ぶちまける。
12. 敵が彼らの家に住み、畑や妻を横取りする。 わたしがこの国民を罰するからだ。
13. 彼らは、最も身分の低い者から最も高い者まで、詐欺師の大うそつきだ。 預言者や祭司までが、一つ穴のむじなだ。
14. 傷などどこにもない、と言ったからとて、傷が治るわけではない。 戦争で上を下への大騒ぎだというのに、平和だと言いはる。
15. わたしの国民は、偶像を拝んで、恥ずかしいと思っただろうか。 とんでもない。 顔を赤らめさえしなかった。 それで、彼らは死人の間に転がり、わたしの憤りの下敷きになって死ぬ。
16. ところが、それでもなお、神様はあなたがたに訴えます。 ずっと昔おまえたちが歩いていた、神を恐れる幸いな道を探し出し、その道を歩け。 そうすれば、たましいに安らぎがくる。 だがおまえたちは、「いや、その道は通りたくない」と答える。
17. わたしは見張りを立て、「ラッパの音に注意せよ。 危険が近づいた合図だ」と警告した。 だがおまえたちは、「いや、そんなものに注意する必要なんかない」と言い返した。
18-19. だから、今こそ宣言する。 全地よ聞け、遠い国々もエルサレムのわたしの国民も聞け。 わたしはこの国民に災いをもたらす。 というより、むしろ彼ら自身が災いを招いたのだ。 わたしの言うことを聞こうとしなかった罰だ。 彼らはわたしの戒めをはねつけた。
20. 今になって、シェバの香り高い香をわたしの前でたいても、何の役にも立たない。 高価な香はしまっておけ。 おまえたちの供え物を受け入れるわけにはいかない。 それらのものは、もはやわたしにとって良い香りとはならない。
21. わたしは彼らの道につまずきの石を置く。 父や子はつまずき、隣人や友人も共に倒れる。
22. 北から攻めて来る軍隊を見よ。 それは、おまえたちに襲いかかる強大な国家だ。
23. 彼らは血も涙もない残忍な国民で、完全武装し、馬にまたがっている。 この軍隊のざわめきは、海のとどろきに似ている。
24. 私たちはこの軍隊のうわさを聞いて、恐怖に取りつかれ、すっかり腰抜けになりました。 産みの苦しみをする女のような恐怖と苦痛が、私たちを捕らえました。
25. 畑に出てはいけません。 道を歩いてもいけません。 どこもかしこも敵だらけで、人を見たら殺そうと待ちかまえているからです。 私たちは、曲がり角に来るたびに、びくびくします。
26. ユダの誇りであるエルサレムよ、喪服を身にまとい、灰の中に座り、ひとり子を亡くした時のように激しく泣きなさい。 何もかも滅ぼす軍隊が、あっという間に攻めかかるからです。
27. エレミヤよ、わたしはおまえを金属を試す器具にした。 おまえがわたしの国民を試して、どれだけの価値があるかを調べるためだ。彼らの言うことに耳を傾け、彼らがすることに目を留めよ。
28. 彼らは最悪の反逆者で、神に逆らうことばだけが口を突いて出る。 真鍮のようにあつかましく、鉄のように堅くて残忍だ。
29. ふいごで勢いよく吹き、火の温度をうんと上げても、彼らを精錬することはできない。 もともと彼らには、うちに隠されている純粋なものなど少しもない。 だから、どんなに時間をかけて精錬してもむだだ。 彼らにあるものは、かすだけだ。 どんなに火を熱くしても、彼らを悪の道から引き離すことはできない。
30. わたしは彼らに、「不純で使いものにならない銀」というレッテルを張り、捨ててしまった。