5. そこで家来は答えました。 「ハマン様がお見えです。」「ちょうどよい。 ここへ呼べ。」
6. ハマンが来ると、王はさっそく話を切り出しました。 「余の眼鏡にかなった者には、どんな栄誉を与えたらよいものかな。」ハマンは心のうちで思いました。 「きっと私のことだぞ。 私以外に、陛下が栄誉を与えたいと思う者などいるはずがないからな。」
9. そして、最も身分の高い貴族の一人にその人の世話をさせてください。 つまり陛下の服を着せ、ご愛馬に乗せ、くつわを取らせて通りを引いて行かせるのでございます。 その時、『陛下のおこころにかない、このような栄誉を賜わったのだ!』とふれさせてはいかがでしょう。」
10. 「名案じゃ!」 王は思わずひざを打ちました。 「大至急、王衣を持って来させ、余の馬を引いて来て、そのとおりにしてくれ。 果報者は宮廷務めのユダヤ人モルデカイだ。 よいな、いま言ったことを、そっくりそのまま実行するのだぞ。」
11. なんということでしょう。 しかしどうにもなりません。 ハマンは王衣をモルデカイに着せ、王の愛馬にまたがらせ、くつわを取って通りを引き歩きながら、「陛下のおこころにかない、このような栄誉を賜わったのだ!」と叫びました。